フォビオン・ストーリーズ
(その1の続き) 高校生になったディックは、しかし、クラスメートが写真に対してあまり興味がないことを知った。飛行中の蛾も、それよりもはるかに撮るのが難しかった落下中の水滴も、クラスの女の子にはどうでもいいことのようだった。ディックはどうすれ…
フォビオン社には数多くの才能が集まったが、ディック・ライアンはその中でも、最も若いうちから世間に才能を認められていた一人だ。 ディック・ライアンはテキサス州エル・パソで生まれ育った。彼は地元の高校で卒業アルバムの写真撮影を担当しており、彼が…
カーバー・ミードがフォビオンセンサーの開発に至る道のりを歩み始めたのは、1967年にマックス・デルブリュックがミードの研究室を訪れた時に遡る。 マックス・デルブリュックは1906年にドイツで生まれた。ノーベル物理学賞を受賞したマックス・ボルンの元で…
その時、カーバー・ミードはカリフォルニアのデスバレーにある砂漠の真ん中で、携帯電話の電波を受信しようとしていた。 ガソリンスタンドから漏れる光が、ミードの乗用車の後部座席を照らしていた。そこには、ホコリにまみれた古い機械や電気設備が満載され…
20世紀最大の発明と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 飛行機や原子力など、その後の社会を大きく変貌させたものが思い浮かぶかもしれない。その中の一つにトランジスタがある。 トランジスタの発明によって、大量の真空管と配線からなる巨大な計算機が、小…