フォトキナ2014 山木社長による150-600mm F5-6.3 DG OS HSMプレゼン

今回新しく150-600mmを発表するにあたり、そのコンセプトと、どのような経緯で開発に至ったのか、説明させていただきたいと思います。

まず私たちが考えたのは150-500mmのリニューアルでした。そのために三つの目標を掲げました。

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一つ目は高い光学性能です。特に倍率色収差をなくすことを目指しました。

二つ目はレンズ本体の製造レベルを上げることです。また、防塵防滴は必須だと考えました。。

三つ目は軽量でコンパクトなサイズにすることです。現行の150-500mmは比較的小型なので、このサイズを維持するのを目指しました。

しかし、長い議論を重ねるにつれて、この三つをすべて高いレベルで満たすのはとても難しいことがわかりました。最終的に、このプロジェクトを二つに分けることに決めました。

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まず、高い光学性能と防塵防滴をスポーツライン用のレンズとして、そして、小型で軽量のレンズはコンテンポラリー用のレンズとして開発しようと決めました。

しかし、このように言うとコンテンポラリーレンズは画質が低く、レンズボディの作りも悪いのではないか、と思われるかもしれません。しかし、そうではありません。コンテンポラリーも既存のレンズより高い品質と性能を備えています。

これは、単に優先順位の違いなのです。スポーツラインでは光学性能と防塵防滴をサイズよりも優先しました。コンテンポラリーラインでは、何よりもサイズと軽量さを重視しましたが、それでいて画質もボディの質も高いレベルを維持しています。

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まとめると、どちらのレンズも既存のレンズより高い光学性能、高品質なボディ、そしてさらに多くの特徴を備えています。両方とも、使用していただく方には、最高の性能と、ワクワクするような体験をしていただけると確信しています。

これからこの二つのレンズの特徴を簡潔に説明させていただきたいと思います。

まずスポーツラインから始めましょう。

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スポーツラインはプロ写真家向けに設計されています。強固で耐久性が高い設計がなされています。

最初に強調しておきたいのは、もちろん優れた光学性能です。

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このレンズは2枚のFLDガラスを使用しています。FLDは蛍石と同等の光学性能を持っています。その2枚のFLDと3枚のSLDガラスを使用しています。この計5枚の特殊ガラスにより、倍率色収差を極限まで減らすことが可能になりました。まず、高画質であること、それが最初に強調しておきたいことです。

二つ目は防塵防滴構造を備えているということです。

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このイラストはスポーツラインのレンズの構造です。そして、赤い部分がゴムシールです。このレンズでは全ての接合部にシールを施し、チリや水滴がレンズ内部に浸入するのを防いでいます。

ここでこのレンズの防塵性能をどのようにテストしたのかお見せしたいと思います。



実際にこのようにして私たちは防塵性能をテストしました。

また、防滴性能もテストしています。



さて、他の特徴は、全ての焦点距離でズームロック機能を持ったことです。この機能を持つのはこのレンズが世界初です。

他の望遠レンズと同様に、このレンズも当然広角端でズームロックができます。しかし、このレンズは焦点距離が変わってもズームロックが出来るのです。180mm、250mm、300mm、400mm、500mm、そして600mmです。

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例えば撮影する時にレンズを上に向けたり、下に向けたりします。三脚に据えている時でも、焦点距離が変わって欲しくない時があります。このズームロックをすることで、焦点距離を固定することができます。

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さらに、ズームリングに少し力を入れるとこのロックを解除できます。

このようにロックして、そしてキャンセルできます。

さらに、レンズを衝撃から守るために、全面から力が加わってもロックは解除されます。


次は防水・防油コーティングです。

屋外での長時間に渡る撮影に対応するために、レンズの前玉と後玉に防水・防油コーティングを施しました。このコーティングの性能をお見せしたいと思います。

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通常のコーティングの場合は、レンズにマーカーで何かを書くことができます。

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これが防水・防油コーティングされたレンズです。

このコーティング性能はプロ写真家にとっても魅力的でしょう。


次はマニュアル・オーバーライド・スイッチです。

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このレンズのフォーカススイッチにはマニュアル・オーバーライドという設定があります。スイッチをここに設定しておけば、フォーカスリングを回すだけでAFからMFにすぐに切り替えることが可能になります。コンティニュアスAFの最中であっても、この切り替えは可能です。


次は新しい三脚座です。

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今回新しく三脚座を設計し直し、簡単に90度レンズを回転させる事ができます。これによって、手軽に横位置から縦位置へと切り替えることができます。

三脚座にはストラップ用のコネクタが付いていますから、持ち運びも容易です。


ズームの変更も容易になりました。

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通常のようにズームリングを回して焦点距離を変えれるだけではなく、レンズそのものを押したり引いたりしても簡単にズームできます。持つところはラバーコーティングされていますので、操作もしやすくなっています。

フードは金属部品にラバーコーティングされていますから、衝撃を受けた時にもフードが衝撃を吸収して、レンズを保護する事ができます。



手ブレ補正が加速度に対応しました。

新しい手ブレ補正機能は特殊な状況にも対応できるよう加速度を検知することができます。これによってモータースポーツなどの高速で動く被写体の撮影に最適化させることができるようになりました。

手ブレ補正センサーも水平、垂直の両方の動きに対応しているので、ブレの補正がより正確になりました。



AF性能の向上

超音波モーターによって、AFはとても静かで高速です。コンティニュアスAFモードでもこれまでより正確にフォーカスが可能になりました。



このレンズも様々な設定をカスタマイズ可能です。

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USBドックとSIGMA Optimazation Proを使うことで、レンズのファームウェアのアップデートや、AF速度、マニュアル・オーバーライド、フォーカスリミッター、手ブレ補正パターン、など、多くの設定を変更できます。

これらの設定はカスタムモードに登録できるので、スイッチをいれるだけですぐに使用できます。

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以上はスポーツラインのレンズの特徴ですが、コンテンポラリーラインのレンズも同じ機能をいくつか備えています。


この表がスポーツラインとコンテンポラリーラインとの違いです。

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まず、防塵防滴はスポーツラインのみです。手動でズームができるのもスポーツのみで、さらにコンテンポラリーの三脚座は通常の取り外し可能なものです。

しかし違いはこれだけです。他の特徴はコンテンポラリーラインのレンズも共通です。

発売日などの詳細はまだ未定です。



(注:今回の記事の元動画は途中で切れている部分がいくつかあったので、シグマの公式動画の内容などからプレゼンの中身を推測して一つの記事にまとめました。以下が記事の元になった動画です)