トミオ・セイケ・トーク・イベント 「シグマDPシリーズのすべて」に行ってきました(その2)
(その1の続き)
トークは一旦終了し、質疑応答に入る。
セイケさん「質問一回するごとにそれに返事して、じゃあ次の人、みたいなのは好きじゃないので、質問に関連して、じゃあこういうのはどうかとか、それは違うんじゃないかみたいに話をつなげていって欲しい」とのこと
「ハードル高いよね」としんぞーさん。みんなうなづく。
質問者「セイケさんの写真にはいつも暖かさを感じるけど、それは意図して選んでいるのか?サンプルにある鉄扉の写真も石畳の写真も無機質なのにどこか温かみを感じる」
セイケさんは撮るときに意識して探しているわけではないけれど、自分はそもそも冷たいものが嫌いで温かいものが好き。たとえ鉄や機械でも、そこに人が関わっていれば何かしら温もりを感じる。そういうものを撮ってきた。
(という話を聞いて、セイケさんがイギリスの鍛冶屋を撮ったGLYNDE FORGEという写真集を思い出しました。製鉄の道具しか写ってないのに温かみを感じる不思議で優しい写真集です)
しんぞーさんから追加情報「セイケさんは『石が呼ぶんだよ』って言いながら石畳を撮りに行った。普通の人とは見えているものが全く違う」
質問者「セイケさんはどうやって自分の『絵』を見つけて行ったのか?他の誰かを参考にしたりしたのか?」
セイケさん、その質問には直接答えず、人はあまり欲深くならない方がいい。自分がこれは、と思ったものにとことん食い下がり、それだけをひたすら撮る。そうすれば見えてくるものがある。一つ決めたらそれだけをやりなさい、という素敵なアドバイス。
(という話を聞いて、一年間ひたすら窓の外を撮り続けた写真集OVERLOOKや、5年間、一人のモデルをひたすら撮り続けた写真集ZOEを思い出しました。
特にZOEの最後の一枚の写真は一人の人を長年撮り続けることで得られた人間関係、愛情だったり信頼だったり、その他もろもろを含んだもので、ZOEの少しだけ微笑んだ姿が本当に美しく、感動的でした)
しんぞーさん「セイケさんにプラハのいわゆる観光地的な場所を紹介しても全然興味を持たれなかった。他の人がどう思うかは関係ない。自分の絵を求めて自分の足を使って探し続けた」
セイケさん「みなさんはシグマのユーザーなんだからこれからはシグマのカメラだけ使いなさい」
質問者「DP3 Merrillは75mmということで、一般的にはポートレートに適した画角だが、人物写真が一枚もないのはなぜか」
セイケさんによると、最初は人を撮るつもりだったけど、ロケ期間中は日が出なくてどうしようもなかったので諦めたとのこと。
「ブレちゃいけない、ボケててもいけないって言われて、あの状況でDP3で人を撮るのは無理」
DPでスナップは無理。高感度も厳しい。「桑山さんなんとかしてよ(笑)」と会場に来ていたシグマ広報の桑山さんに訴える。「社長に伝えておきます」と桑山さん。
風景写真は暗い時は三脚を立てて撮った。
しんぞーさん「DP3買う人ってみんなもう逝っちゃってるから、一般的な75mmはポートレート的な写真がカタログになくても、全然問題なし」
質問者「カタログはホワイトバランス日陰が多いけどなぜ?」
セイケさん「実際曇ってたし、日陰にすると一番いい雰囲気になった」
SPPの色設定は「ナチュラル」とのこと。
質問者「カタログはカラーなのに、ギャラリーはモノクロなのはなぜ?」
セイケさんによると、ロケ中にSPPのモノクロモードの話を聞いて、それを試してみたくなって、頭の中はモノクロだった。しんぞーさんにも「カタログ全部モノクロで行かない?」って聞いてみたけど、さすがにそれは無理と却下された(大爆笑)。
仕方なく、自分で今回の写真をモノクロにしたものを雑誌F5.6の連載に掲載した。やっぱり自分の写真はプリントしたものを見てもらってなんぼなので、今回のギャラリーでやりたかったモノクロを展示できた。自分ではこれでようやくプロジェクトが一区切りついた気がしてほっとしている。
質問者「犬の写真は狙って撮ったのか」
セイケさん「石畳を撮っている時に、気づいたらファインダーに入っていた」
DP3のライブビューではあれは狙って撮れない。石畳をどうやって撮ろうか、試行錯誤しているときに、ふっとあの犬が入ってきた。
写真は自分で全部をコントロールすることはできない、そういうことを写真の神様が教えてくれたのかもしれない。
という感じです。
素敵なイベントでした。セイケさん、しんぞーさん、ありがとうございました。
トミオ・セイケ 写真展
「Timeless Time」
2013年 9月14日(土)~ 12月7日(土)
1:00PM~6:00PM 入場無料
休廊 日・月曜日 および 9月24日~28日
「Timeless Time」
2013年 9月14日(土)~ 12月7日(土)
1:00PM~6:00PM 入場無料
休廊 日・月曜日 および 9月24日~28日