DP1 & DP2 Merrill フィールドテスト&レビュー(その2)
その1の続き
ニック「さあクリス、これから一眼レフ界の王者、D800Eと、その小さなカメラを比較してみようよ」
クリス「DP2とD800Eで画質勝負させようってこと?」
ニック「うん」
クリス「DP2の存在価値は画質が良いことだけだ、って誰が言ったんだっけ?」
ニック「君が言ったんだよ(笑)」
クリス「そうだった(笑)このカメラは画質が全てだ。本当に画質は良いんだよね?」
ニック「うん、すごいよ」
クリス「ネット上でもこのカメラの画質はひたすら絶賛されてるよね。もし、DP2がD800Eに負けなかったら、僕は本当に降参するよ」
ニック「じゃあ、確かめてみよう」
クリス「クソッ!またバッテリーが切れた!」
クリス「ニック、そろそろ帰って画像を現像してみよう。何が写ってるか楽しみだ」
ニック「そうだね。今日はいい天気だったし、結果が楽しみだよ」
クリス「さて、The Camera Store TVのオフィスに戻ってきたんだけど、これから写真を確認して、どのカメラの画質がいいのか確認しようと思う。プリントもしないとね」
ニック「じゃあさっそく見てみよう」
クリス「わかった。じゃあシグマのソフトで開いてみよう」
ニック「どのメーカー純正ソフトも同じなんだけど、これもひどいソフトでね(笑)でも、とりあえず使えなくはないよ」
クリス「まるでシグマのカメラそのものだね(笑)」
ニック「うん。一応最低限の仕事はやってくれる(笑)ピクセル等倍で画像を見るにはボタンを押してちょっと待たなきゃいけないけど」
クリス「このバーが動き終わると等倍で見れるわけだね」
ニック「最新のパソコンだとすぐに等倍を見れるよ」
クリス「僕は旧型のマックを使ってるからこの作業にすごく時間がかかるんだよね・・・」
ニック「でも待つだけの価値はあるよ。ほら、等倍を見てみると・・・この岩肌とか、葉っぱとか、どれもすごい画質だよ」
ニック「これが君が撮ったJPEGだね。ISO1600だ。まるで新聞の写真だよ」
クリス「こりゃ酷い(笑)」
ニック「水面に元々ない紫や緑の斑点が出てる。これはちょっとひどいね。5年前のカメラのISO3200がちょうどこれくらいだったと思うよ。DPの高感度をJPEGで撮る意味はないだろうね」
ニック「現像した写真をいくつかライトルームに取り込んで、ここから写真の印刷をするよ。今ちょうどこの画像をプリントしてるんだけど、等倍で見るとすごい。びっくりするよ。
シグマのカメラは決して使いやすくはないんだけど、専用ソフトはパラメーターを動かすだけで簡単に調整できて便利だ。他のRAWを現像するときと同じように、いくつか手順を踏まなきゃいけないんだけど、一度やり方を覚えてしまえば、ものすごくきれいな写真を作ることができるよ」
クリス「なるほど、こうやって画面を見てると、このカメラのすごさがわかってきたよ。じゃあ次はプリントを見てみようか」
ニック「そうだね」
ニック「クリス、どっちがD800EでどっちがDP2だと思う?」
クリス「間違いなくこれがD800Eだよ。ということはあっちがDP2ってことになるんだけど、すごい画質だね。本当に微妙なところなんだけど、わずかにディテールが違うかな。でもほとんど同じレベルだよ。こうやって近づいてみて初めて違いが分かる程度だ。もちろんD800Eはバケモノじみたカメラだからすごいのは当たり前なんだけど」
ニック「別のカメラだから色とかコントラストとか違うし、正確に比較することは難しいんだけど、とりあえず解像度だけに注目してみると、違いを見つけるのは難しいよね。もちろん、こんな大きなプリントの細部を、近づいて見て比べるのは馬鹿馬鹿しいことなんだけど」
クリス「D800Eがすごいのはわかりきったことだよ。でも、センサーのサイズや画素数を考えると、実際には3分の1くらいの画像サイズで、だいたい半分くらいの解像度しかないDP2の画質がここまですごい画質だって言うのは本当にビックリした。たぶん今世の中にあるAPS-Cサイズのセンサーの中では一番の画質だろうね」
ニック「普通のプリントサイズから、たぶんA2くらいまでならD800EとDP2の画質の違いを見つけるのは難しいと思うよ」
クリス「ちょっと離れて普通の鑑賞距離から写真を見比べると、ただ二枚のきれいな写真があるようにしか見えないんだけど、片方は30万円のカメラ、もう片方は9万円のカメラなんだよね」
ニック「面白いのは、離れて見るとシグマのほうがよりくっきりして見えることだよね。細部のコントラストが高いせいなんだけど、こういう画質は他のカメラじゃ得られないんだ。僕が最初にこのカメラに注目したのはそこなんだよ。この解像感が最大の特徴だ」
ニック「さてクリス、撮影をはじめる前にこの小さなカメラについて随分言ってくれたけど(笑)、こうやってA1サイズにプリントした写真を前にして何か言うことはあるかい?」
クリス「これはすごいよ(笑)実際は1500万画素のサイズしかない画像を、このサイズに印刷してこんな画質だなんて。この写真は本当に美しい。もちろん僕が撮ったからってわけじゃないよ(笑)細部までものすごく解像しててシャープだ。DP2はものすごい写真が撮れるカメラだよ」
ニック「もしこの写真がギャラリーに飾ってあったら、これがAPS-Cセンサーで撮られたカメラだって思う人は誰もいないだろうね。他のAPS-Cは勝負にならないよ。きちんと撮ればD800Eと同等か、状況によってはそれ以上の画質の写真が撮れるんだ」
クリス「しかもこれがたったの9万円だからね。もちろん、これは万人向けのカメラじゃない。使い勝手は悪いし、現像ソフトはイマイチだ。高感度もせいぜいISO200まで。
AFは昔使ったことがあるDP1よりも随分良くなってるし、他にもいろんな部分が進歩してるのは確かだ。あと、これが一番大事だけど、何よりも使ってて楽しいしね。でもやっぱりこれは万能なカメラじゃないよ。何でも撮れるわけじゃない」
ニック「子供の誕生日パーティーに持っていくカメラじゃないよね」
クリス「勘弁してよ(笑)」
クリス「何でも撮りたきゃ他のカメラ使えと(笑)」
ニック「そういうこと。これはフィルムカメラを使ってる時を思い出せばいいんだよ。一度セットしたら感度は変えれない。慎重に構図を決めてピントを合わせシャッターを切る」
クリス「これはシグマのDP『Merrill』だからね。前のDPとは違うから買いたい人は注意してよ。以前のDPは正直良くなかったし、シグマの一眼レフも動作が遅くて酷いものだった。でも、メリルになってからは確かにものすごい進歩だと思うよ。画質が全てを物語ってる。ディスプレイ上だけじゃなくてプリントしてもすごい画質だ」
ニック「シグマはフォビオンの技術にプライドを持ってるし、良いカメラを作ろうと一生懸命やってる。でも、ゼロから作らなきゃいけないからシグマにとってカメラを作るのは大変だ。でも、画質に関しては疑う余地は何一つないよ」
クリス「もしこのカメラが自分の撮影スタイルに合って、きちんと使いこなせるのなら、DP Merrillは手に入れやすい価格で、高画質な写真が撮れる、素晴らしいカメラだ。今日はどうもありがとう、ニック」
ニック「楽しかったよ、クリス」