Quattro・グローバルビジョン時代のシグマのカメラとレンズ(雑感)

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SIGMA sd Quattro H + 18-35mm F1.8 DC HSM

シグマが2012年にグローバルビジョンレンズを発表してから5年ほどたった。

僕が写真を撮り始めたのが2009年で、グローバルビジョンの発表はその3年後だから、グローバルビジョン前よりも、あとの方が長い時間が経っている。けれども、自分の感覚としては、グローバルビジョンの発表はそんなに昔のような気がしない。不思議だなと思う。

僕は2012年の段階でほとんど全ての焦点距離をカバーできるだけのレンズをそろえていた。10mmから300mmまで、ほぼ途切れなく写せるレンズが手元にあった。なので、どれだけグローバルビジョンレンズの性能が良くても、同じ焦点距離のレンズを置き換えるようなことはあまりしてこなかった。

グローバルビジョンレンズが圧倒的に前の世代と違うのは、その解像度で、これは等倍鑑賞をしない人間には、実はあまりアピールポイントにならない(僕は等倍鑑賞はしない)。USBドックがあるからAFの精度も向上してるんだけど、僕はレンズを買うたびにボディと一緒に工場に送って調整してもらっているので、古いレンズでも全く問題がなかった。そして、グローバルビジョン前のEXレンズも、十分性能が良い。50mm F1.4 EX DGも70mm Macroも50-150mm EX DCも、SD1 Merrillで使って何も問題ないくらい優秀だ。

SD1 Merrill + 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM

僕はグローバルビジョンレンズを買う機会を逃し続けたので、Quattroの導入も遅れた。メリルセンサーは発売してから性能が落ち着くまでに結構時間がかかったのを見ていたから、Quattroも様子見をして、性能が安定した頃に買おうと思っていた。そして、sd Quattroは、グローバルビジョン以前のレンズのAFに問題があるということだったので、これもしばらく様子見することにした。

sd Quattro Hが出る頃には、センサーの性能もAFも、ひとまず安定したようだったので、導入を決めた。Quattroを使い始めて、一番最初に感じたのが「色が良い」ということ。圧倒的な色の良さがQuattroの特徴だと、ぼくは思う。

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sd Quattro H + 70mm F2.8 EX DG Macro


「色の良さ」というのは、実は説明が難しい。あくまで感覚的なものだし、今の時代、Photoshopで上手く加工すれば、それなりの色は出せる。けれども、ずっとMerrillで現像してきた僕のような人間からすると、Quattroの色の出しやすさというのは、特筆すべきものだ。苦手な色というものがあまりない。ほとんどの色を自分の思い通りに出すことができる。これは本当にすごいことだと思う。最初にQuattro Hの写真を現像したときに「これからはこれを中心に行こう」とすぐに決断した。

そうなると問題になるのがレンズだ。手元にはグローバルビジョン以前のレンズが多く、しかもAPS-C用のDCレンズが大半だ。Quattro Hで行くとなると、DCレンズでは性能が発揮できない。調べてみたら、18-35mm F1.8の20mm以降と、50-150mm F2.8はHでも行けることが分かった。しかし、それ以外のレンズは厳しい。

Quattro H導入と前後して、仕事用の便利カメラとしてソニーのα6000を使い始めた。これにMC-11を載せれば手元にあるSAマウントレンズがそのまま使える。で、使ってみたところ性能はそんなに悪くはない。悪くないどころか、α6000はミラーレスカメラとしてみたらsd Quattroの何倍も使いやすい。

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α6000 + MC-11 + 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM

MC-11の問題は、これもsd Quattroと同じで、グローバルビジョン以前のレンズはAFがあまり合わない、ということだ。最新のファームでかなりマシになったけど、やっぱり今でも70mmマクロはAFが合わない。

このAF問題は改善されるのだろうか?僕はあまり期待していない、というと怒られるかもしれないけれど、やっぱりシグマだって商売だ。グローバルビジョン以降は制御の方法が全く違うのだろう。それ以前のものに全部合わせるのにも、限界はあるし、どこかで線を引かないといけない。

自分の撮影スタイルがどのようなものか、自分の被写体がどのようなものなのか、改めて考えてみた。そして、カメラの将来と、シグマの未来も考えてみた。

Quattroの絵を見て、そして、α6000を使ってみて、やはり自分はシグマを使い続けるだろうと思った。そして、シグマはその開発リソースをフルサイズ用レンズに向けていくだろうな、とも思った。

小型センサーのカメラは、おそらくスマホに飲まれていく運命なのだと思う。ダブルレンズのスマホが広がり、その性能が上がっていけば、小型センサーのデジカメの出番はほとんどなくなっていくだろう。APS-Cとm4/3は小型・軽量・高性能という方面に進化していくと思う。そうなると、シグマの画質最優先・重厚長大という路線はAPS-C ・ m4/3とは合わなくなっていくのではないだろうか。

もちろん、コンテンポラリーシリーズがその役目を負えなくはないだろうけど、現在の高性能ミラーレスはレンズとボディのセットで性能が最大限発揮されるように(特にAFの速度面で)設計されてるように感じる。ソニーのαはやっぱりソニーのレンズが圧倒的に使いやすい。ここはサードパーティーであるシグマには分が悪い。僕はDCのアートシリーズは50-100mm F1.8で終わるんじゃないかと心配してる。

スマホに侵食されず、なおかつシグマの優位性を保てるのは、なので、フルサイズ用超高性能レンズしかないのではないか。

そんなことを考えて、僕はグローバルビジョン以前のDCレンズと、ほとんど使っていないカメラボディを手放すことにした。現在ヤフオクに出品中である。たぶん今後は、作品用の写真はsd Quattro Hで、日常の写真はソニーのαで、撮っていくことになるだろうから。

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sd Quattro H + 35mm F1.4 DG HSM Art

時代は変わっていくし、被写体も機材も変わっていく。けれどもたぶん、僕はこれからもずっと写真を撮り続けるのだと思う。その時僕が使うカメラが、いちばん使いたいと思うカメラが、シグマだと良いなと、やっぱり今でも思うのだ。