シグマ製品の思い出を語る

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シグマ製品をヤフオクに出すことにしたので、なんか名残り惜しいから思い出などを書いてみよう。


初めて買ったデジカメ。これは思い入れが深い。絞り・シャッター速度・ISO・RAW現像、全部これで覚えた。写真の全てをDP2から学んだと言っても過言ではないくらい。



この写真はtumblrでもかなりバズられたり、内外のネットニュースで良く使われてた(昔は写真全部クリエイティブコモンズに指定していた)。当時は今みたいなコピペまとめサイトみたいなのがあんまりなくて、ネットの写真の使い方も良心的だったと思う。

最初は起動が遅かったり、AFが遅かったり使い勝手が悪かったけど、ファームアップでだいぶ良くなった。画質は今でも十分通用すると思う。


シグマの画質はISO100のRAW現像に限定したら「時代を超えてずっと通用する」んじゃなかろうか。4Kは800万画素だから等倍でもちょい足りないけど(DP2の解像度は470万画素)、アプコンしたら十分見れる気がする。

DP2で写真を撮り始めて、ネットに上げるようになったら、いろんな人に写真を見てもらえるようになった。たぶん、当時も今も、フォビオンの画質というのは時代を超えた何かがあるんじゃないかなと思う。僕はほとんどSPPしか使わないんだけど、SPPだけでここまで仕上げられるカメラというのは、今でも他にはない。

特にMerrill以降にシグマのカメラを使いだした人は、470万画素の旧センサーの取り扱いやすさというのは体験してほしかったり。今のパソコンだとホント現像速くて楽だし。



DP2で写真が面白くなったので一眼レフが欲しくなり、手に入れたのがSD14。当時は中古があまり出回っておらず、eBayでわざわざオーストラリアから中古を購入した。当時は大学休学(というか無職)してたのでお金がなく、新品の一眼レフなんか買えなかった。



SD14と同時に300mm F4を手に入れて、それでかなりたくさん写真を撮った。シグマのサンヨンは3分の1倍マクロなので、かなり近い距離でも写せる。昆虫撮るのは今でも最高のレンズじゃないかな。はやくグローバルビジョンで新型のサンヨン出してほしい。

ちなみにこの蝶の写真はシルキーピックスのお試し版で現像して、設定を忘れてしまったので今でも再現できない(笑)



SD14はとにかく色が良い。デフォルトの設定だとセンサーの飽和までかなり余裕があって、常に露出を+0.7で撮って、SPPで露出を下げていた。それでもハイライトが飛んだ記憶はあまりない。低感度で撮ったとき、今でも一番色がいいカメラはSD14なんじゃないかなと思う。



逆にちょっとでも感度上げるとすぐに色がダメになる。上の写真も夕方の競馬場で撮ってシャッター速度がいるからISO400にしたら、もうカラーでは見れない。仕方なくモノクロに逃げた(けどまあ、それはそれで良い写真になった気もする)。


DP1


DP2SD14だけだと広角が足りないということで、DP1を買おうかどうか悩んでいた。当時はDP1は逆光に弱くフレアに特徴的な「サッポロポテト現象」が出るとの評判で、導入をためらっていた。で、そのサッポロポテトを改善して、多少逆光に強くなったのがDP1sで、これなら大丈夫かなと買ってみた。



逆光に強いDP1s。レンズが良いので写りもすごい。ただ、動作が遅かった。DP1sはDP1のコーティングとフィルタを改良して逆光に強くした(だけ)のカメラで、中身はほとんどDP1と同じだった(QSボタンに相当するカスタマイズもあったけど)。DP2に入ったイメージプロセッサのTRURIIはDP1sには入らなかったので、書き込みが遅い遅い。でもじっくり撮る分にはホント良いカメラだと思う。




DP2SD14DP1sとカメラがだいぶそろってきたので、機材の面で撮影に困ることはほとんどなくなってきた。ただ、当時はSD14に安いズームしか使っておらず、明るい単焦点が欲しくなった。


ということで導入したのが30mm F1.4 EX DC。

小さくて軽くて良く写る。周辺が甘くて歪曲もちょっとある。けど、中央だけならDP2にも負けないくらいの解像度。かなりベストセラーになったレンズ。



明るいレンズだと、薄暗がりでもISOを上げずに撮ることができる。癖があるけど、持ち出しやすいので良く使った。




でも、もうちょっと長くて明るいの欲しいなということで、50mm F1.4 EX DGを買った。

これはすごいレンズだよなあ。今でもすごい。ボケがすごい。空気感がすごい。本当にすごい。



今でこそ、シグマは純正以上の高性能レンズを作るメーカーという認識があるけど、当時は「サードパーティー」で、1ランク落ちる会社みたいな印象がまだ残っていた。確かフィルムの頃は、型落ちの一眼レフにシグマのズーム付けて割安で売る、みたいな扱いをされてたと聞いたことがある。

なので、互換レンズ会社には「純正と同じスペックのレンズを売ってはならない」みたいな不文律があったとか。あくまでもスペックの隙間を狙っていくしかなかったらしい。それを変えたのが、このシグマの50mm F1.4 EX DG。純正のスペックにガチンコ勝負を挑んで、しかも画質でも負けない。今でいうアートシリーズの走りみたいなレンズだったと思う。


新型のArt 50mmもすごいらしいけど(持ってない)、ボケの滑らかさだったらこっちの方が上なんじゃないかな、という印象。


標準から望遠あたりの焦点距離はだいぶカバーしてたんだけど、広角は28mmのDP1sしかなかった。なので、それより広い広角を試してみようということで導入したのが10-20mm F4-5.6。



人間の視界より広く風景を写せるのはとても楽しくて、風景を撮るときにはいつも持ち出していた。初めて10mmを見たときはすごく新鮮だった。

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と、レンズが一通り揃ったところで、SD1の発表になった。開発発表が2010年の9月。その前のSD15の発売が2010年の2月だったから、SD15を買う資金を貯めているときに、SD1の発表があった。

今でも思うけど、やっぱりSD1の発表は早すぎたよなあ。SD15が発売して半年も経たないうちにSD1だから、僕みたいに買いあぐねてた人はみんな様子見したと思う。そして、SD1の発売は約1年後の2011年6月。で、伝説の定価70万円。当時のネットの阿鼻叫喚といったらすさまじかった。



僕は当然ながら70万円なんか用意できなかった。分割(60回払い!)で買おうとしたけど、当時働き始めたばっかりでクレジットカードの審査が下りなかった(笑)。上の写真はネットで知り合ったSD1買った人と撮影会に行って、その時貸してもらった時に撮ったもの。「複眼までバッチリ見える!」と驚いた。

で、SD15を買おうかSD1の値段が下がるのを待とうかあれこれ考えた(後から追加で買って分かったけど、SD15は非常に完成度の高い名機だ。でも当時は僕みたいにSD1どうしようか悩んでる人が多かったのでスルーされ続けた。非常に不運なカメラだと思う)。結局SD1を買うことに決めて頑張って働いた。

2012年の2月、CP+直前にSD1 MerrillとDP Merrillの発表があった。そして、これも伝説になった40万円キャッシュバックで、ネット上が祭りになった。SD1 Merrillは20万円を切ってたのでようやく買うことができた。いやいや、長かった。



実は、これもほとんど忘れられてるけど、SD1は発売後のバグがかなりひどかった。かなり頻繁にアップデートがされてて、1年くらい経ってようやく画質が安定した。そして、安定した後にSD1 MerrillとDP Merrillの発売が来たので、この時手に入れた人は画質で困ることはほとんどなかったと思う。僕もほとんど不満はなかった。






SD1 Merrillの本当に改善してほしかった欠点はカードの書き込みの遅さ。これはもう、データが大きいから仕方ないと思うんだけど、それでも何とかして欲しかった。DP Merrillはプロセッサか基盤の改良があったせいか、同じセンサーなのに書き込みがかなり速かった。せめてDP Merrrll並みの速度が出てればなあと今でも思う。


メリルセンサーには得意な色と苦手な色があって、青色は本当に素晴らしい色が出る。



青と比べると、やはり他の色は弱い。解像度は高いけど、色が出にくいというのが、僕の最終的なメリルセンサーの評価。でも、それでもやっぱり唯一無二の画質だと思う。


僕は今後はQuattro Hとソニーαを使い分ける。グローバルビジョン以前のレンズはAFが合わせづらいので、やはり使い勝手が悪い。SD1にQuattroセンサー載せたカメラが出れば、それを使い続けられたんだろうけど、シグマにも事情があるから仕方ない。

シグマのカメラをずっと使い続けてきて、色々勉強できて良かったと思ってる。とても楽しかった、というのが正直な感想だ。でも、さすがにいくつも使わないカメラやレンズを抱えたままにはしておけないし、古くなって調子が悪くなるのを待つくらいなら、売りに出して他の人に使ってもらった方が良い。

今までありがとうございました。これからも、よろしく。