シグマCEO山木和人インタビュー(DSLRマガジン2014)(その1)


(訳者注:このインタビューは英語で行われ、その後スペイン語に翻訳されたあとで公開されたものです。今回の翻訳はそのスペイン語をさらにGoogle翻訳して英語にし、それを日本語化したものになります。読みやすさを意識してなるべく前後の辻褄が合うように言葉を補っていますが、実際の発言とはかなりかけ離れたものになっている可能性があります。内容の正確性が保証できませんので参考にとどめ、引用などは控えていただくようお願いします。)
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dp2 Quattroを手にする山木和人氏


今回スペインのバルセロナで、私たちDSLRマガジンと写真家を含むグループはシグマの山木社長を囲んで会談を行うことができた。2時間以上もの長い会談になってしまったが、既存のメディアの報道にはない、新しい知見がいくつかあった。

「私たちのゴールは現代において最も特徴のある製品を開発することです。このような製品を作るのにはアナログ的な技術が必要で、そのためには経験や知識、ノウハウを持っていなければなりません。そしてそれら全ては機械を操作して得られるのではなく、人間の手から作り出されるものなのです」


山木和人氏とは、これまでにも何度となくインタビューをさせてもらっている。氏は他の同業他社の責任者とは違い、質問をはぐらかしたりすることなく、いつも穏やかだ。一言で済むような答えでも、いつも貴重な情報を与えてくれる。とても感謝している。

今回のインタビューは英語で行われたので、スペイン語に翻訳する際に正確性が失われてしまっている可能性がある。もちろん、翻訳には細心の注意をはらい、出来るだけ正しい内容を伝えるように努力した。インタビューの途中でのあまり関係性のない話題は省略したり、要約したりしている。しかし、発言された内容は出来るだけ再現するように務めた。

今回の会談に参加したのは以下のメンバーである。

山木和人 シグマCEO
Joan Altimira Reflecta社ジェネラルマネージャー
Jaume Guillen Reflecta社プロダクトマネージャー
Jordi Cohen 写真家
Valentin Sama DSLRマガジン
Iker Moran Quesabesde社


 ― 35mm F1.4と50mm F1.4がアートシリーズで発売になりました。その次に期待するのはやはり85mm F1.4なのですが、発売の予定はありますか?

山木:どのようなレンズが希望ですか?収差の少ないレンズとか。

 ― 私はスナップ写真を撮るので軽いとありがたいのですが。

山木:軽さですか?ああ、ちょっとノーコメントにさせて下さい(笑)

 ― もうちょっと質問を変えましょう。以前山木氏がおっしゃられていたことは、アートシリーズは単に高画質を追求したというだけのレンズではなく、これまでに発売されたレンズの中で最高の性能のレンズだということです。

アートシリーズとして50mm F1.4と35mm F1.4が発売されていますが、次のレンズは85mm F1.4になると多くの人が予想しています。次のアートシリーズは85mmのようないわゆるクラシックなレンズなのか、それとも、18-35mm F1.8のようなこれまでにはない全く新しいレンズになるのでしょうか?

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SIGMA 18-35mm F1.8 Art


山木:どちらも開発中です。私たちのゴールは全く新しいレンズを作ることと、クラシックなレンズを最新の技術で作りなおすこと、その両方です。

最新のカメラに古い設計のレンズをつけても残念な結果にしかなりません。昔のレンズは収差が多いことが多いですから。もちろん、中には最新のカメラに付けても通用するレンズもありますけど、私たちは常に新しい技術を使ってレンズを更新していきたいと考えています。そしてそれと同時に、今まで存在していなかったような全く新しいレンズも作っていきたい。これが私たちの目指しているところですね。

 ― 先ほど軽いレンズという話が出ましたけど、シグマはレンズ鏡筒にTSCという複合材を使っています。長い目で見て、この新しい複合材は金属やポリカーボネートといった素材と比較して、どれくらいの耐久性や安定性があるのですか?TSCはガラスと膨張率が同じという話は聞いているのですが。

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山木:膨張率はアルミニウムやガラスと同じくらいですね。TSCそのものはプラスチックです。私たちはレンズの各部品でプラスチックか金属か最適な素材を使うようにしています。例えばマウントのようにプラスチックが不適切な場所には金属部品を使用します。レンズを付けたり離したりするので、どうしても部品が摩耗してしまいますから、プラスチックのマウントは採用していません。しかし、非接触部には使っています。

 ― そうやって適切に素材を使うことで、軽くて長く使えるレンズになっているのですね。

山木:そうですね。また、プラスチックの場合は形状の自由度が高いという特徴がありますし、金属の場合はユーザーが手に持った時の感触がいいです。レンズを作るときはこのような特性を考慮に入れて最適な素材を使うようにしています。

 ― フルサイズ一眼レフで動画を撮影するユーザーが増えています。動画に特化したレンズを作る計画はあるのですか?

山木:今のところ動画に向けた製品を作る計画はありません。しかし、私たちの35mm F1.4や18-35mm F1.8、50mm F1.4、70-200mm F2.8といったレンズを使って動画を撮影しているユーザーがいるようです。現在は市場を見て、動画の需要がどれほどあるか調べているところです。

 ― シグマの18-35mm F1.8は多くの人に使われているレンズだと思うのですが、このスペックでフルサイズ用のレンズを作ることはできないのですか?

山木:18-35mmをフルサイズ用にすると、非常に重く、巨大なレンズになってしまいます。もちろん将来的にフルサイズ用のF1.8ズームが可能になるかもしれません。先ほども話しましたように、私たちはクラシックなレンズと新しいレンズの両方をより良いものにしていくつもりです。忍耐強く待っていて下さい。

 ― フルサイズ用のF1.8というのはそれほど困難なのですか?

山木:レンズがあまりにも巨大になってしまうので、製造は極めて困難でしょうね。既存のマウントでも口径が小さいマウントだと開発がさらに困難になります。例えばニコンマウント(口径44mm)はとても小さいです。もしキヤノンマウント(口径54mm)だけにレンズを作ればいいのなら、開発はもっと楽になります。ニコン用にも作るとなるとやっぱり難しいですね。

 ― ニコン用のシグマのレンズは機械部分をなくして電磁絞りを採用していますね。私たちも電磁絞りのほうが正確で信頼性があり、なおかつレンズ設計にも有利だと考えています。ニコンもいくつか電磁絞りを採用しているレンズを出していますが、未だに機械絞りを使い続けている理由は何なのでしょうか?

山木:私自身もいったいどれほどの人が機械絞りを必要としているのか不思議に思います。特に望遠レンズの場合、絞り連動レバーはとても長くなりますし、カメラ側も高い精度でレバーを動かさなければいけません。レンズによってはボディからかなり離れたところにある絞りを動かすことになりますので、特に望遠レンズではモーターを使ったほうが有利です。キヤノンや他のミラーレス、オリンパスパナソニック、フジフィルムなどはモータ駆動です。

 ― 私の記憶ではニコンFマウントは1963年から続いています。

山木:ああ、なるほど。ニコンもTSレンズや超望遠レンズ用に他のシステムも使っていれば状況は変わっていたかもしれませんね。

 ― この件に関して質問なのですが、電磁絞りのレンズの方が複数のマウントに向けてレンズを作る時に開発しやすいのでしょうか?

山木:もし全てのカメラメーカーが電磁絞りを採用したら、レンズの開発はもっと楽になりますね。絞り連動レバーの位置がマウントごとに違うので、ニコン用とペンタックス用にそれぞれ専用のシステムを開発しなくてはいけません。マウントごとの構造の違いはかなり大きいのです。もし全てのメーカーが電磁絞りを採用したら、私たちの開発はもっと簡単になります。例えばシグマにはそれぞれのマウント用のシステムを開発するための専用のエンジニアが大勢います。もし絞りが共通なら、そういう人員も必要なくなります。

 ― シグマはマウント交換サービスを始めましたね。どのマウントの交換が人気なのか興味深いところです。値段も約1万円から2万円くらいになっていますね。

山木:実際の作業ではかなり多くの部品を交換しています。再組み立て後は最高の性能を発揮できるように入念に検査をし、その後ユーザーに発送をしています。

 ― キヤノンマウントからシグママウントへの交換はニコンペンタックスへの交換よりは簡単そうです。

山木:それぞれのマウントに特徴がありますから一概には言えませんね。

 ― 私のようにスナップ写真を撮っている写真家からすると、ミラーレスカメラは軽量で扱いやすいので広く受け入れられています。シグマはミラーレスカメラにどのように対応していくのでしょうか?

山木:私個人としてもミラーレスの市場は今後も伸びていくと考えています。具体的にどのようにと言うことはできないのですが、現在発売しているミラーレス用のレンズだけでなく、もっと多くのシステム用にレンズを作っていきたいと考えています。ラインナップも豊富にしたいですね。

 ― アートシリーズの50mm F1.4よりももっと軽量な50mmの開発予定はないのですか?、例えばキヤノンの50mm F1.4はサイズと画質のバランスが取れてていいと思うのですが。

山木:そうですね。キヤノンニコンの50mmの設計はとても実用的で古典的ですが、性能は最新のレンズに見劣りします。しかし、ユーザーにとっては選択肢が増えたことになります。シグマは最高の性能を目指してレンズを作っていますので、設計やサイズも異なっています。将来的には多少画質を犠牲にした50mm F1.4をコンテンポラリーラインでも出すことができるかもしれません。今のところ具体的な計画はないですけれども。

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 ― ソニーはα7、7R、7Sというフルサイズミラーレスを出していますが、システムとしてまだ完成されてるとは言いがたいです。とりわけAFレンズが揃っていません。

一方シグマは多くのマウント用にたくさんレンズを作ってきた経験があります。シグマとソニーが協力してレンズを作っていくということは可能なのでしょうか?

山木:そうですね、多くのユーザーからソニーαのFEレンズを作って欲しいと言われています。しかし、今の時点ではもう少し研究が必要です。これは先程のマウントの口径の話にも関連するのですが、ニコンマウントはフルサイズ用のレンズを作るには少し口径が小さいのです。ご存知のように、ソニーはとても高品質なレンズを作ることの出来る会社ですし、シグマも最高品質のレンズを作るのを目標にしています。しかしあのマウント口径では・・・

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 ― どうしてソニーはあのサイズにしたんでしょうね?

山木:わかりません。開発の経緯を考えると、元々はAPS-C用に設計されたものだと思います。しかし、そのままフルサイズ用としても使えるか検討して、発売に至ったのではないかと。

 ― これだけ狭いと光線が効率よくセンサーに届きませんから、私からすると悪夢のような設計です。

山木:この問題を解決する方法が何か必要です。開発にはもう少し時間がかかりますね。