写真がもっと上手くなりたいリターンズ(第一回)フォトコンで勝つにはどうすればいいのか?



「写真が上手くなりたいんだがどうしたもんか」という文章を書いてからそろそろ1年になるということで、なんかそれに絡めてフォトコンの話でも書こうかなと思いまして、ちょっと何かしら書いてみます。なんか毎年この時期になると写真について集中的に考えてみたくなるのですよ。何でですかね?



さて、そもそも論として、何で企業や自治体や各団体はフォトコンをやっているのか。道楽でやってるわけじゃないと思います。フォトコンやると人もカネもけっこう使うので、その背後には何らかの目的がある。

ぶっちゃけて言えば、商品を売るためだと思います。出版社だったら本を売るためだし、カメラメーカーだったら自社製品を売るためです。自治体だったらその地域を宣伝して人に来てもらい、お金を落としてもらうことでしょう。

もっと広く「写真文化に貢献するため」とか、ひょっとすると「世界平和に貢献するため」という目的があるのかもしれませんけど、直接的にはやっぱりモノを売るためだと思います。

コンテストをやることで良い写真が集まる。その中から選りすぐりの写真を発表することで、この機材を使うとこんな写真が撮れる。あるいはそこに行けばこんな写真が撮れる。そう思わせることができると各団体が信じているので、時間とお金を使ってフォトコンテストを行う。

「写真表現の限界を追求する」という目的は、たぶんあんまりありません。そういうのは木村伊兵衛賞とかの役割です。キャノンやソニーみたいな大きな企業のやってるフォトコンはもうちょっとこういう要素が強いかもしれませんけど。大企業は余裕がありますから。

なので、もし狙ってるフォトコンがあるのなら、まずその主催団体はどこなのか、何を目的としているのか、何を必要としているのか、じっくり考える必要があります。


さて、僕はフォトコンはシグマのフォトコンしか出していません。何でかというと、他のフォトコンに出すのは面倒だし、落ちるのは嫌だからです(笑)

たぶん他のフォトコンも取れそうなのを調べて狙って行けば、取れなくはないと思うんですけど、それをするメリットも意味もとりあえず今の自分には感じられないし、そもそも僕はただのサラリーマンなのでそこまでのエネルギーも時間もありません。


ということで、フォトコンに関してはシグマのフォトコン一本に絞ってます。


最初にシグマのフォトコンに出したのは今はなきZorgでやってたやつで、そこでいきなり受賞しました。

http://farm5.staticflickr.com/4062/4673877517_20bcf7e5fc_b.jpg2010 第二回シグマフォトコンテスト 金賞



我ながらよく撮れてます。これと同レベルの昆虫写真は未だに撮れていないので、これは本当にラッキーだったなあと思います。ちなみに近所の公園でフラフラと散歩している時に撮りました。

この写真をフォトコンに出すことにしたのは、単純にコレが2010年に撮った自分の写真の中でベスト3に入っていたからです。シグマフォトコンは毎回3枚応募できるので、この年は単純に自分のベスト3を出しました。

ちなみに残りの二枚は以下の二つなんですが、これは選ばれなかったです。



なんでこの二枚じゃなくて、昆虫の写真なのか。

何となくですけど、選ばれなかった二つはど真ん中構図で深みにかけたのかなあと。それか、単純に選ばれた方の色合い・構図・被写体のバランスが良く、一番安定してるからかなあと。そんなことを思いました。

さて、2010年はこれで終わったんですが、次の2011年は苦労しました。基本的にフォトコンはその年に撮った写真しか出さないことに決めているのですが、2011年は子供が生まれてめちゃくちゃ忙しくなって写真がほとんど撮れなかったんです。

そんな中でとりあえず出そうと決めたのが下の写真。




一枚目は娘が生まれて一週間後の写真です。これ悪い写真じゃないよなあと思ってるんですが、ちょっと何かが足りなかったようです。

二枚目は前回に味をしめて昆虫+マクロで良かったのを出してみました。審査員が同じだったので、同じテーマなら選ばれやすいかなと思ったんですが、これもダメだったようです。


で、選ばれたのがこれ。

2011 第三回シグマフォトコンテスト 金賞


コレかよ!と通知を受けた時はビビリました。まさかの相撲の流し撮りです。コレ撮った経緯は以前書いたので気になる人は読んでみてください。

さて、じゃあそもそも僕は何でこの写真を出そうと思ったのか。

最初の二枚はすんなり決まったんですけど、どうしても3枚目が思い浮かばなかったんです。2011年に撮った写真でもうちょっと良い写真はあったんですが、それだと他の人に勝てない気がしました。で、悩んで決めれなかった時に、どういう写真なら勝てるのか、考えるようになりました。


そもそも、シグマのユーザーは誰か。シグマの製品は何か。彼らは何を撮っているのか、何が撮られているのか。考えていくと、どういう作品がフォトコンに応募されてくるのか何となく見えてくる。

風景はみんな撮っている。かなりの数が応募されてくる。でも、その風景写真が素晴らしいものであったとして、受賞作品が全て風景写真になるか。

それはないだろう、と思いました。

僕が主催者なら、自分のメーカーのカメラが、「限定された被写体しか撮れない」と誤解されかねない選び方はしない。なので、ジャンルは被らないように、色も被らないように、慎重に選り分けて、受賞作品を選ぶはずだ。

風景
マクロ
スポーツ
飛行機
夜景
花火
子供
動物

これらのジャンルの中で均等に写真は選ばれるだろうし、焦点距離もシャッター速度も、バラバラで選んでくるだろう。

写真はいろいろなことができるのだから、それを証明するような作品を受賞作として選ぶだろうと。

シグマのコンテストなんだから、風景は絶対に大量の応募が来る。僕の写真ではおそらく埋もれてしまう。そもそも、長野や山梨や北海道や、そういう風光明媚な場所に住んでる人や、よく旅行に行く人に、僕が勝てるわけがないです。なので、風景を出すのは最初から捨てました。

僕の相撲の写真は「相撲・望遠・スローシャッター」という、たぶん応募作の中にほとんどない組み合わせです。こんな写真を撮った奴はいないと僕は確信していました。なので、コレを出せば、選ばれる可能性は低くはないだろうと。

で、結果として、僕の狙いが当たったんだと思います。


もちろん、写真そのものにある程度力がないといけない。作品に力がないと、そもそも審査の対象にならないような気がします。

でも、そんな写真でも、応募作が似たようなレベルなら当然埋もれてしまう。なので、埋もれないように自分ができる最大限ユニークな写真を提出するのがベストな戦略なのだと思います。


2012年はシグマのフォトコンがなかったので、そもそも何もしませんでした。個人的にこの年はけっこう良いのが撮れた年なので、あって欲しかったんですけど、まあないものはしかたないです。たぶんフォトコンあったらここらへんのを選んでたんじゃないかなあ。




さて、ということで2013年の終わり、久々にシグマフォトコンが開催されると発表がありました。

発表を見てビビったのが、今回からシグマのレンズさえ使っていればシグマ製「カメラ」じゃなくても良くなったこと。そして、賞品が出るということ。

ヤバイじゃないかと。シグマ製カメラじゃなくていいんだったら、誰でも参加し放題で、レベルが上ってしまうじゃないか。ついでにSDでは撮れないような写真でも、よそのカメラなら撮れてしまうじゃないかと。

さてどうしよう。

と、考えたんですが、とりあえず方針は変わらないです。今回もシグマの販促のためのコンテストなんだから、幅広いジャンルから均等に選ばれるだろうし、そうなると、層が厚い部門よりは、薄いところを攻めた方がいい。


とりあえず娘の写真はチラホラあったんですが



悪くはないんだろうけど、何か足りないなあと。そもそも子供写真はみんな撮るから倍率が高い。

そんなわけで、娘の写真は全部やめました。


たぶん、今年は正攻法では勝てないだろうということで、他の人が撮っていないだろうジャンルで勝負しようと。

最初に選んだのがコレです。夜にシャッター開けて手持ちでビルをブラして撮りました。

かなり抽象的な絵になってるんですけど、ここまで崩してフォトコンに入るのか、個人的に見極めをしたかったんです。

で、コレは選ばれなかったんで、ここまでやったらダメなんでしょう。まあ、予想通りではありますけど(笑)


次がコレ


何となく心象風景的な、ノスタルジーを感じるようなのを狙って撮ったんですが、まあこれも落ちました。予想通りです(笑)

でもこれは個人的に、去年撮った自分の写真の中では一番好きなんですよ。



あともう一枚どうすっかなあ、ってことで、結局選んだのがこれ。


2013 シグマ・FOVEONスクウェア フォトコンテスト 入賞



構図も被写体も悪くはない。少なくともSDでこういうのを撮ってる人はいない。なので、選ばれるならこれかなと。

で、運良くこれが選ばれました。ありがとうございます。



ということで、今回フォトコンとは何なのか、自分なりによくわかりました。


まずパッと見で良い写真じゃなきゃダメ。良い写真を出す。

その中で、競争の激しいジャンルと、比較的ニッチなジャンルがあるはず。狙うならニッチなジャンル。

さらに主催者のメリットを考える。メーカーはどんなイメージを欲しているか。シグマのSDなら風景は十分撮れるので「動体も撮れる」というイメージは欲しいはず。僕の写真はそのニーズに応えられてると想います。


そこら辺に注意していけば、たぶんフォトコンに選ばれる可能性は上がるんじゃないかと。


ということで、とりあえず今日はここまで。