フォビオンのRAWファイルを現像できるソフトIridient Raw Developerの紹介
元記事:An Alternative Process - Iridient Raw Developer 2.1
Mac OS X専用ソフトです
シグマは初めてのデジタル一眼レフカメラSD9を発売した時からずっと、自社製の現像ソフトSIGMA Photo Pro(SPP)を提供し続けている。SPPはフォビオンセンサーの高ダイナミックレンジな特性を活かしたX3 Fill Lightといった特徴を持っているが、他社の現像ソフトと比較して機能が少なかった。また、Iridient Raw Developer(IRD)が対応するまでは、メリル世代のデータを現像できる唯一のソフトだった。
IRDにはApertureやLightroomのような強力なプリセット機能や編集機能はない。しかし、現存するほとんど全てのカメラのRAWに対応し、各パラメーターやトーンカーブを自由に調節できる。また、トリミングや回転、画像サイズの変更、各種画像フォーマットへの書き出し、バッチ機能と、必要な機能はほとんど備えている。
IRDは2004年にMacOSX専用ソフトとして、ハイエンドな写真家に向けて発表された。機能を絞るよりも、ノイズ、色彩、シャープネスなど、ありとあらゆるパラメーターを自分で操作し、自分が求める画質を出力するためのツールとして開発された。IRDによるフォビオンのサポートは2007年から始まり、2013年にはより高機能になったVer.2が発売された。
IRD Ver.2は世界で初めてシグマSD1のRAWファイルをサポートしたサードパーティーのソフトである。それ以降は順調にアップデートを重ね、最新のDP3 Merrillまで、全てのシグマのカメラをサポートしている。最新版ではシグマだけではなく他のカメラに向けても改良を加えられている。新しく開発された三種類のノイズリダクション、ISOに基づくオートレベル調整、チャンネルミキサー機能を持った新モノクロームモード、暗部補正、LittleCMSを利用したカラーマネジメント、アップル社のRAWサポート機能への対応、等だ。
インターフェースは独自のものではなく、アップルが提供している基本デザインに沿っている。これによって操作が快適になるとともに、処理速度も向上している。一列に並んだフィルム状のプレビュー画面を見ながらでも、動作が遅くなることはない。
操作画面や情報画面はそれぞれ独立しているので、自分の環境に合わせてウィンドウを配置できる。ヒストグラムはサイズ変更可能で、各チャンネルやRGBごとに表示が可能だ。操作パネルはトーンカーブと各パラメーターを表示しており、ここで現像作業を行える。
100%等倍に拡大するのは簡単で、SPPの二段階方式よりも高速だ。また、このことによって、シャープネスやノイズリダクションの調整も簡単に行なえ、リアルタイムで画像を確認できる。
IRDによる現像はとてもわかりやすい。Camera RawやLightroomほど簡単ではないかもしれないが、RAWから画像出力まで一貫しており、様々なパラメーターを自分で調節できる。
まずRAWファイルを開いてみる。
見てわかるように、開いた時点で色温度、色彩、シャドー・ハイライト回復の各パラメーターが自動で設定される。さらなる調節は上部のボタンをクリックすると可能になる。
RAWファイルのさらに細かな調整や特殊効果、RGBの調整などはこのパネルで行う。これらのパラメーターはプリセットとして保存できるので、特定の条件で撮影したファイルに当てはめることができる。しかし、露出とホワイトバランス以外の項目はベイヤーセンサーのみの対応なので、複数のファイルの画像をより現像しやすくするのに使えるだろう。
トーンカーブを使った現像にも対応している。上の画像はDP2 Merrillのデフォルトのカーブだ。このパネルからさらに複雑なトーンの調整も可能である。
レンズパネル
レンズプロファイル調整はとてもわかりやすい機能だ。この設定も保存でき、いつでも呼び出すことができる。また、IRDはAdobeが提供しているLCPファイルにも対応している。Adobeのレンズプロファイルクリエイターはここからダウンロード出来る。
モノクローム変換パネル
SPPでもモノクロ現像が行えるので、この機能に注目する人は少ないかもしれないが、IRDは様々なカラーミクスチャーと変換機能を利用できる。また、トーンカーブやトリミング、シャープネスをすぐに確認できるといった機能を便利に感じる人は多いだろう。
トーンカーブパネル
トーンカーブパネルではトーン調整が簡単にできる。また、プリセットを保存しておくことも可能で、このソフトだけでドラマチックな調子に現像することも可能だ。
調節パネル
このパネルで回転、トリミング、色調節ができる。プリセットの保存も可能で、他のファイルを現像中にバッチ作業をさせることもできる。
最後にIRDは出力ファイルの調節も自由だ。画像サイズ、解像度、フォーマットの各種を変更可能である。