写真が上手くなりたいんだがどうしたもんか(第一回)

「写真が上手くなりたいなあ」と毎日ぼんやり考えながら、日々のあれこれに追われて生きているわけですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?


今まで適当に写真を撮って、適当にアップしてと、あんまり突き詰めることなく写真と向き合ってきました。


初代DP2を買ってからそろそろ4年経ち、今みたいな適当な写真を撮ってたらどこにも行けないし何も残せないだろうなということを最近ちょっと考えているので、ちょっと本気で「どうすりゃ写真が上手くなるのか?」ということについて考えたいと思います。


さて、ところがそもそも「写真が上手い」というのはどういうことなのか?というのは、実は全然答えがわからない、難しい問題なわけです。

僕がいいと思う写真と他の人がいいと思う写真は違うかもしれないし、その逆もあります。何か絶対的な基準があるかといえば、そうではないような気がします。

コンテストで受賞すれば良い写真なのでしょうか?お金が取れればいい写真なのでしょうか?出版してベストセラーになればいい写真なのでしょうか?

全然わかりません。なので、まず「いい写真とは何か?」について考えないといけない。

その次に、そういう写真を撮ろうとする自分の問題があります。僕は何を撮れるのか、何を撮りたいのか、何に価値を置いているのか、何を目指すべきなのか。

もっと突き詰めて、何で僕は写真を撮っているのか。

そこをクリアーにしないと、出発点がわからないわけですから、どこに進もうとしても道筋を立てれません。

なのでまずは、自分は誰なのか、今まで何を撮ってきたのか、何を考えてきたのかをもう一度考え直す必要があります。

「自分は誰なのか?」からスタートして、「自分はどこに行きたいのか?」をとりあえず明らかにする。

そこがわかればたぶん、じゃあこれから毎日どう生きればいいのかということが見えてくるんじゃないかと思うわけです。



さて、じゃあ「良い写真」とは何か?から始めようと思うんですが、これがわからない。全くわからない。

ざっくり言うと「人を感動させれる写真」は良い写真だと思います。が、人は何に感動するのか?というのは千差万別で正解が(たぶん)ない。

こういう話を突き詰めてしまうと、そもそもアートとは何か?とか、表現とは何か?みたいな大きな話に行ってしまうし、そこでも結局絶対主義と相対主義との二項対立になってしまって、たぶん答えは出ないだろうなと思います。

「だから、正解なんかないんだから自分が好きなものを撮りたいように撮ればいい」というのは、究極的には正しい態度なのかもしれません。が、それもそれで違うような気がします。だいたいこういうこと言うのは努力してない人間の言い訳がほとんどで、それが正しいなら、過去の「偉大な芸術」というものは存在していないはずです。

それはたしかにそこにあるけれど、不定形で見えない。「だからそこを目指すべきではない、目指せない」というのは間違いで、「そこを目指すべきだけれども、その方法は一つではないし、ゴールは明確ではない、ヘタするとゴールなんかないかもしれない」というのが、たぶん正しい。というか、そうやってちょっとずつ探っていくしかないような気がします。

目指すべきものは、かすかにすら見えない。でも、とりあえず前に進まないことには、どうにもならない。

じゃあどうすりゃいいの?という時に指針にすべきなのは、今の自分が立っている場所。つまり、自分の内面にある「表現」のベクトルなんじゃないかと。とりあえずそう考えることにします。


さて、じゃあ、そもそも僕は何で写真を撮ってるのか?


んーとまあ、たいした理由はないんですよ。当時たまたま仕事がなく暇で、たまたま友人の結婚式があって何となく写真でも撮ってみようという気になってて、たまたまネットでDP2の写真を見かけてたまたま買ったら写りが良くて楽しくて、そのままハマっていったという、そんだけの理由です。

僕の問題はたぶんDP2の写りが良すぎて色々勘違いしてしまったことにあると思うんですね。カメラが良いだけなのに、自分が上手いんじゃないかと思ってしまった。



この写真はDP2買って2週間くらい経った頃、つまり写真始めて2週間の時の写真なんですが、これflickrのexploreにいきなり載りました。flickrのexploreは毎日数万枚とアップロードされる中からトップ500だけが選ばれるらしく、けっこう難関らしいんですが、DP2使い始めた頃はたいして努力もしないで適当に撮った写真が次々とexploreに入るんで「いやあ、俺って写真上手いのかなあ?」と思ったりするわけですよ。人間だし。

でもやっぱり写真始めて2週間の知識も何もない人間が上手いわけもなく、ビギナーズラックなだけだろうと今では思ってます。

僕のビギナーズラックはその後、シグマフォトコンテストの第2回、第3回で続けて金賞受賞というあたりでピークを迎えまして、そこからようやく自分の実力を客観的に見れるようになりました。



僕はたぶん、「こういうのが人にウケるだろうな」というのを見極めて、それっぽく撮ってそれっぽく現像するのは得意です。なので、手間暇労力を惜しまなければ、フォトコンで入選しやすい写真を撮るのはたぶんできます。

Getty Imagesという写真を売るサイトにも自分の写真を登録していて、そこでもコンスタントにちょくちょく写真が売れてて、毎月ちょっとお小遣い稼ぎもできています。

んでもまあ、だからどうしたと思うわけです。僕はそれを撮りたいのか?と考えた時に「撮りたい!」と胸を張って言える写真が何枚あるのか?と。今まで撮ってきて、ほんの数枚しかないわけです。

「本当のところでは撮りたいものを撮っていない」という現実を直視するのはキツイので、「まあflickrでそこそこ見られてるし」とか「まあ、Gettyで売れてるし」とか、そういう客観的な(それだってたいしたことない)ところに逃げてたわけですね。

なので、こういう態度を改めないと、たぶん僕の未来はないだろうなと。というか、たぶん今のままでたいして上手くないままずっと上達せずに年月だけが経ってる人間になるよなあと。

それは嫌だなと何となく思うわけですね。

じゃあどうすればいいのか?というのを考えたいんですが、それはまた次回ということで、今回はとりあえずここまで。