フォビオン現像テクニック(第十七回)メリルセンサーのRAWを低スペックパソコンで現像する!

DP2 Merrillの発売が近づいて来ましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

今の時点で実売価格が9万円を切ってるのはコンデジと考えれば少し高いようにも感じられますが、4600万画素のフォビオンセンサーを搭載したカメラと考えると十分お買い得だと思います。

そんなお買い得なDP2 Merrillで初めてフォビオンに触れるという人も多いのではないかと思うのですが、心配なのはRAW現像するパソコンのスペック。何と言っても4600万画素なので一つ一つのデータが重いです。画像にもよりますがだいたい平均して一枚あたり40MBから60MBものサイズになります。

フォビオンはRAWで撮影しないとその実力が発揮できないのは広く知られていることだと思うのですが、それはつまり、RAW現像処理できるパソコンが必要だということを意味します。しかもメリルセンサーのデータは大きいですから、それが気がかりでメリルセンサーのフォビオン機導入をためらってる人もいるのかもしれません。

確かに大量のデータを現像するには高スペックなパソコンがあったほうが便利ですが、だからといって低スペックなパソコンではメリルセンサーのフォビオン機は使えないのかというと、そうではありません。実際に自分が主に現像を行なっているパソコンは数世代前のCore2Duoのノートパソコンです。それでこれまで何百枚ものメリルセンサーのRAWを現像してきました。

付属のRAW現像ソフトSIGMA Photo Pro(SPP)の機能を使えば低スペックなパソコンでもそれなりに実用的にRAW現像できます。今回はその方法をいくつか紹介したいと思います。



速いドライブ上で作業する!


SD1はコンパクトフラッシュなので、現像する時にはそれをカードリーダ経由でパソコンに認識させないといけません。しかし、このカードリーダにつないだままの状態で現像するとデータの読み込みが遅くなることが多いので、まずHDDやSSDなどの速いドライブ上にデータを移しましょう。

また、一つのフォルダに数百枚といった大量のデータを置いておくと、SPPがそれを全て読み込もうとして負荷が増えてしまいます。なので、現像枚数が大量の場合は50枚毎に違うフォルダに保存するなどの工夫をすれば、負荷が低い状態で作業できるので現像速度が上がります。

現像中は常駐ソフトや他のソフトを出来るだけ動かさず、SPPだけを作業させるようにすることも効果的です。


ダメな写真は開かない!



メリルのデータを扱う上で一番の基本は「ダメな写真を開かない」ということです。

SPPはサムネイルの画面から写真を一つ選んで、ダブルクリックした瞬間から現像が始まります。スペックの低いパソコンだと、写真をダブルクリックしてから実際にパラメータを調整できるようになるまで10秒以上かかるのが普通です。

そうやって時間をかけて開いた写真がピンぼけだったり、構図がイマイチだったりすると、それだけで時間の無駄になってしまいます。なので、まずはダメな写真を開かないことが大事になります。


さて、ではどうすればダメな写真を開かないで済むのか。

方法の一つはRAW+JPEGの設定で撮ることです。そうすればJPEGだけを確認して、ピントや構図が良い写真を選び、それに対応するRAWを改めて現像することができます。

SPPでサムネイルを開くとデフォルトではJPEGもRAWも全部一緒に表示してしまうので、メニューバーの「表示」から「JPEGのみ表示」を選んでJPEGだけ表示させると手際よく写真を確認できます。


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しかし、自分はRAW+JPEGは使っていません。単純にファイルの数が二倍になってしまうのでデータ管理が煩雑になってしまうし、撮影の時にごく僅かですが書き込み速度が遅くなるからです。


自分が使っているのはSPPのJPEG抽出機能です。この機能を使えばRAWだけで撮影しても、JPEGを確認しながらRAW現像ができます。

まずサムネイルの画面からJPEG画像を確認したいファイルを選択し、マウスの右クリックで「Jpegデータの抽出」を選びます。フォルダ内全部の画像を確認したい場合は「全ての画像」を選択します。その後保存先が選択できるので、デスクトップに仮のフォルダを作っておいてそこに保存しておくと便利です。


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こうやってJPEGを別の場所に保存しておいて、画像ビューワーで写真を確認しながら、ピントがちゃんと合ってる写真や構図が良い写真だけを開くようにすれば、現像時間を短縮できます。

ここで気をつけて欲しいのは、JPEG抽出された画像はあくまで仮のデータなので、RAWでいくらでも変更できる色や明るさを基準に選ばない、ということです。多少色がおかしくても露出が狂っててもSPPで復活させれるケースは多いです。あくまでも現像ではどうにもならないピントと構図だけに注目して選ぶようにしたほうがいいと思います。



似たような写真を大量に現像する

JPEGで構図やピントを確認したけど、だいたい全部ピントが来てて、JPEGでは選別しづらいという時があります。そういう時はやはりRAWで現像して、実際の仕上がりを確認してからベストの写真を選びたいものです。



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同じ被写体をちょっとずつ構図を変えて撮ると選別しづらい




JPEGで判断がつかない時は、とりあえず一枚だけRAW現像を行なって、その設定を保存しておき、他の写真も同じ設定で現像すれば手間がかからず現像できます。



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とりあえず一枚現像してみます。

パラメーターがこれで大丈夫なら調整パレットの一番上にある「設定の保存」をクリックします。


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そのあと、設定に適当な名前を付け保存します。


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一旦現像してる写真を閉じて、サムネイル一覧に戻ります。その後、同じ設定で現像をしたい写真をShiftボタンを押しながらマウスをクリックして、選択した状態にします。

サムネイル画面右上にある「画像の保存」ボタンを押し、「選択した画像」をクリック、調整設定はカスタムで先ほど保存した設定を選択します。



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保存先を選んで「OK」を押せば現像が始まるので、現像中はテレビを見るなり本を読むなり、自分の好きなことをして時間を潰しましょう。自分はインターバルで千枚以上現像する時に、寝る前に現像を始めて朝起きたら終わってるということをしたことがあります。





さて、低スペックパソコンでメリルのデータを現像する方法をいくつか紹介しましたが、いかがでしたか?

もちろん高スペックパソコンで一枚ずつRAW現像していくのがベストなのですが、低スペックパソコンでも工夫をすればそれほど苦痛を感じないで現像できることが、わかってもらえたと思います。

ということで今回はここまでです。

ではまた次回!


 
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