SD1のダイナミックレンジは実際どうなのか?
SD1のダイナミックレンジはSD14より狭いんじゃないか、ということがずっと気になっていたので調べてみました。
同一レンズ、ISO100、RAWで撮影後SPPで現像、ホワイトバランスは本の背表紙に合わせてあります。
SPPは露出バーだけいじってます。他のパラメーターはすべてゼロ。
SD14はISO100だとノイズリダクションは調整できないです。SD1はノイズリダクションをデフォルトの中間のままにしてあります。
ということで比較です。まず露出-3.0から
SD14 70mm F5.6 ISO100 1/25 露出補正-3.0 SPPで露出のみ+2.0
SD1 70mm F5.6 ISO100 1/25 SPPで露出のみ+2.0
ぱっと見SD1の方が黒つぶれが早そうな感じですが、暗部のデータが本当に残っているのかちょっと気になったのでフィルライトを上げてみました。
SD14 フィルライト+1.0
SD1 フィルライト+1.0
潰れてると思ったSD1の暗部もデータとしてはしっかり生きてます。しかもノイズもほとんどないので、このままでも十分使える感じですね。SD14も文字は判別できますが色は完全にノイズまみれなので、モノクロにでもしないとどうにもならないです。
暗部を見たので次にハイライトを見てみましょう。まずはSD14の露出+1.0で撮影してSPPで-1.0に戻したものから。
SD14 0.6sec SPP-1.0
次に同じ作業をしたSD1
SD1 0.6sec SPP-1.0
とりあえず両方とも白飛びはなさそうです。
次に+2.0を見てみます。
SD14 1.3sec SPP-2.0
SD1 1.3sec SPP-2.0
両方とも飛んでますね。SD14は背表紙の平治の巻と書いてある所の上のあたり、肌色っぽい色のはずが唐突に白に飛んでます。
SD1も表紙にくっきり境目が出来てて、突然真っ白になってる部分が飛んでます。
とりあえず+3.0の写真も見てみます。
SD14 2.5sec SPP-2.0
SD1 2.5sec SPP-2.0
両方とも色がめちゃくちゃに転んで救いようがありません。露出+3.0なんだから当然ですね。
さて、ということでちょっとした比較でしたけど、SD14と比べてSD1のハイライトは粘らない、ということはどうもなさそうです。1/3段くらいSD1の方が飽和が早いかも、という気がするのですが、ほとんど誤差の範囲でしょう。
ハイライトの粘りはほとんど同一くらいですが、暗部のディテールはかなり差があります。特に色ノイズの出方が全く違ってて、SD14は露出を持ち上げるとかなり色ノイズが出ます。それに対してSD1は暗部を持ち上げてもノイズはしっかりと抑制されます。つまり、SD1の方がトータルで見てより広いダイナミックレンジを使えるわけです。
さて、では、SD1はダイナミックレンジが狭いという話はどこから来たのか。
実はAモードで同じ絞り、同じ露出補正で撮影すると、SD14よりもSD1の方がシャッター速度が2/3段分くらい長くなることが多いです。つまり、SD14で適切だと判断される絞りとシャッター速度は、SD1だとアンダーだと判断されるわけですね。逆にSD14だとオーバーだと判断される露出は、SD1だとちょうどいいくらいになります。
これはSD14の問題なのか、SD1の問題なのかわかりませんが、個人的にはSD14のデフォルトが元々暗すぎるような気がしています。SD14は+0.7くらいに設定するとちょうど良い感じで撮れることが多いです。
なので、SD14のダイナミックレンジが広いという話は、そもそも適正露出がアンダー気味だったので、見かけ上ハイライトが粘るように見えた部分が多いんじゃないかと。
同じ絞り、同じシャッター速度で撮った場合、SD1で飛ぶ時は、たぶんSD14でも飛びます。なので、SD1が飛びやすいというのは誤りでしょう。SD1は露出をプラスマイナス0でそのまま撮れば、それだけで適正露出になることが多いと思います。
ハイライトの粘りはさほど変わらない、暗部ノイズは圧倒的にSD1の方が少ない、ということで、実用上はSD1の方がより広いダイナミックレンジを効果的に使えると思います。
旧センサーと比べてメリルセンサーのダイナミックレンジは狭いのでは?と心配している方は、杞憂だと思います。
ということでSD1のダイナミックレンジの話でした。