フォビオン現像テクニック(第十三回)DP2+AML-1で至上のボケを堪能する!
DP2というカメラは何かの偶然がいくつも重なってできた奇跡のカメラです。
その奇跡を生み出す要素の一つが、あの小型のボディに大型のセンサーを搭載し、F2.8という明るさのレンズを付けていることによる、ボケの表現だと思います。
それまで普通のコンパクトデジカメしか使ってなかった人は、最短撮影距離で撮った時の背景のボケ方に感動するのではないでしょうか?
そのDP2のボケはクローズアップレンズAML-1を付けることで、さらに滑らかになります。しかもピントの合ったところの解像感はほとんど劣化しませんから、他のカメラやレンズでは見ることのできない、独特な表現が可能になります。たいした大きさではないので、フードアダプターと一緒にカバンに入れておくと、いざという時とても便利です。
しかし、残念なことに、現在AML-1は入手困難です。おそらく生産を終了しており、現在は店頭在庫しかない状態だと思います。2012年3月6日現在、まだヨドバシ.comや楽天で買えるようなので、気になる人はぜひとも買って試してみてください。
さて、このままAML-1が忘れ去られてしまうのは惜しいので、今回AML-1を使った作例と現像方法を紹介したいと思います。
上の写真はとある秋の日、近所の公園をプラプラ散歩しているときに撮りました。ちょうど木製のベンチの隙間に落ち葉があり、面白そうだということで、AML-1をDP2に付けて、最短撮影距離で撮影しました。
こういうシチュエーションではボケの量を最大にしたいので、マニュアルでダイヤルを最短に指定した後で、画面を見ながらギリギリ近づける一杯のところまでカメラを動かしてピントを合わせます。落ち葉の赤い色を出したかったのでISOは50で。西日が逆光で入っていたので露出が心配になり、オートブラケット±1.0で撮りました。
ということで撮ったのが下の三枚です。
露出0
露出-1.0
露出+1.0
この三枚を見た時、僕はまっさきに露出0の写真を選びました。何の偶然かはわかりませんが、0の写真だけが葉の上に丸い光るボケが表れています。これを使わない手はない、ということで現像に入ります。
さて、どうも絵が眠いので、例によってコントラスト+2.0、シャドウ-2.0にしてみます。
グッと迫力
コントラストを上げてしまったので、白飛びがちょっと酷いな、ということで露出を下げていきます。-0.7にしたくらいでいい感じになりました。
ベンチの赤い部分は元から飛んでるので、露出が少ない状態だとかえって変な色になったりして目立ってしまいます。なので目立たないように完全に飛ばすことを心がけます。葉っぱが青いのは赤が突出して他の色が足りていない状態なだけなので、気にせずこのまま現像します。
色がちょっと悪いような気がしたので、木のベンチをホワイト指定して7C+9Mに、葉脈を強調するためにシャープネスを+2.0に、彩度を少し上げて+0.3に、最後にちょっとハイライトを上げて0にします。
警告されまくり
警告を外して実際の絵を確認してみます。
いい感じ
ということでこれで完成。JPEGに保存します。
どうでしたか?コンパクトなボディでもボケ味が楽しめるのがDP2の醍醐味ですが、AML-1を使うことで、さらに大きなボケを作れることがわかってもらえたと思います。
AML-1を使う時のコツは、最短撮影距離まで寄ることです。そのためにはマニュアルフォーカスで最短距離に合わせて、カメラを近づけてフォーカスを合わせるやり方をすると、ボケの量が最大になります。
AML-1があるとDP2の世界をさらに深く楽しめるので、ぜひとも手に入れて活用してみてください。
それでは今日はこれまでです。
ではまた次回!