フォビオン現像テクニック(第十一回)高感度ノイズを誇張して都会の夜のギラつきを表現する!

SIGMA DP1s F4 1/20 ISO400 (ISO1600相当)



デジタルの時代になって写真というのはどんどん便利なものになり、何も考えずに被写体に向けてシャッターを切るだけで、それなりに見れる写真が撮れるようになりました。

手軽に見栄えのいい写真が撮れるカメラの方が売れるので、メーカーもそういう要求に答えるべく、顔認識やシーンモードを搭載したり、高感度性能を上げたりしています。

けれども、世の中のカメラが全部そうなってしまうと、それはそれでつまらないんじゃないかと僕は思います。せっかくだから他の人とは違う写真が撮りたいものです。


シグマのカメラを使えば簡単に他の人とは違ういい写真が撮れる、というのがこの連載の大きなテーマです。そのシグマのほとんど唯一の弱点である高感度ノイズについては、これまで彩度を下げたり、モノクロにするなどして対処する方法を書いてきました。

今回はそれとは全く逆の方向で現像する方法を紹介します。


上の写真は仕事の帰りに駅を通りがかって、ちょっと面白いなということで撮影した写真です。普段は三脚などは持ち歩いていませんし、ここは人通りの多い場所で、カメラを置く場所もありませんでした。

こういう、暗くてなおかつカメラを固定できない時は、ISO400にしてシャッター優先モードで撮影します。シャッター速度はDP1の場合、1/20で大丈夫です。


ということで、さっそくオートで開いてみましょう。



イメージ 1
案外見れる



予想していたよりは、だいぶきれいに写っています。ただ、やはりちょっと暗いので露出、コントラスト、ハイライトを全て+2.0に、色も薄いので彩度も+2.0にします。



イメージ 2
変な色



なんか色がイマイチなので、例によって黄色い照明をホワイト指定して画面全体を青くします。さらに輪郭を強調するためにシャープネスを+2.0に、フィルライトを+0.3に上げます。



イメージ 3
何かまだ平坦な印象



まだやっぱり画面がのっぺりしてますね。

ISO400で撮ったのでノイズリダクションがかかっています。これがあると画面のノイズは減るのですが、細部が全部均等にされてしまって、せっかくのフォビオンのメリットである臨場感や立体感が損なわれてしまいます。

ということで、思い切ってノイズリダクションを切ってみます。色ノイズ、輝度ノイズ共に最小にします。



イメージ 4
東京砂漠



ノイズリダクションを切ることで、細部のざらつきが回復し、画面に立体感が出てきました。

色ノイズは確かに増えましたけど、それがかえって都市の夜景のギラギラした感じを増すのに役だっています。高感度ノイズは被写体によっては効果的な表現になるんですね。

ちょっと黒の締めが足りないような気がするのでシャドウを下げます。-0.3で丁度いい具合になりました。



イメージ 5
臨場感


とりあえずこれで完成。JPEGに保存します。

どうでしたか?

高感度ノイズはそれで表現の1つとして考えれば、また違った雰囲気を写真に与えることのできる、大きな武器だということがわかってもらえたと思います。

シグマのカメラは他のカメラよりも確かに高感度ノイズは多いのですが、その弱点を逆手にとることで、自分の写真のレパートリーを増やすこともできるのです。先入観にとらわれず色々な撮影や現像方法を試してみて、自分の表現の幅を広げていってください。


ということで、今日はここまでです。


ではまた次回!



フォビオン現像テクニック(第十二回)クロスプロセス現像で想像力の限界を突破する!
フォビオン現像テクニック(第十三回)DP2+AML-1で至上のボケを堪能する!
フォビオン現像テクニック(第十四回)DP1の風景は六本の光芒で輝きを増す!