フォビオン現像テクニック(第九回)フィルライトを上げて遠近感を圧縮し非現実空間を作る!
SIGMAのカメラは写真に関する知識がほとんどなくても、簡単に「作品」が作れてしまう、初心者にとって大助かりな素晴らしいカメラです。
とりあえずRAWで撮って、SIGMA Photo Proでパラメーターをいじってたら、何となく「それっぽい写真」が簡単に出来上がります。
その中でも特にすごいのが、フィルライトという機能です。フィルライトはSPPだけにしかない機能ですが、使い方はとても簡単です。第一回でフィルライトをマイナスにふる話をしたので、今日はフィルライトをプラス方向に使うとどうなるか説明したいと思います。
ではさっそくオートで開いてみましょう。
なんともコメントしようがない写真です。
どうしようもないのでとりあえず派手にしとこう、ということでコントラストを+2.0に、シャドウを-2.0にします
線が強調された
この段階で閃いて、これはモノクロにしてタイルと建物の線を強調する写真にしようと思いました。ということでホワイトバランスをモノクロにします。
まだ地味
なんかイメージとは違うので、タイルの部分を白く飛ばすために露出を+1.1に、フラットな感じにするためにハイライトは0に戻します。
タイル部分の明暗差が小さく
さて、ここからが今日の肝です。
フィルライトはプラスにふると暗い部分を明るくし、マイナスにふると暗い部分をもっと暗くします(たぶん)。
フィルライトを使って露出の細かな調整はできるんですが、実はそれと同時に奥行き感も調整ができるんです。
一般的に同じ光源の場合、近くにある方が明るく感じ、遠くにある方が暗く感じます。フォビオンはこの微妙な明暗差をしっかりと記録できるので、写真に立体感を感じられるのですね。
そして、フィルライトで明るさのバランスを変えてやると、距離にともなって変わる明暗差も変わり、結果として遠近感も変わるわけです。
わかりやすいようにフィルライトを変えたサンプルを見てみましょう。
フィルライト-1.0
フィルライト0
フィルライト+1.0
フィルライト+2.0
フィルライトを上げていくにしたがって背景も明るくなっていきます。結果として画面がフラットになって、奥行きが圧縮されたような感じになるのがわかってもらえたと思います。
今回は+2.0はやりすぎに感じたので、+1.0あたりを基準に、もう一度現像をおこなってみます。
警告表示を出しながらハイライトとフィルライトの微調整をします。フィルライトはちょっと下げて+0.9に、ハイライトは+0.1にしました。
大胆に白飛びさせます
とりあえずこれで完成。JPEGに保存します。
どうでしたか?フィルライトは暗い部分の露出を調整するのにとても便利ですが、単に明るさだけではなく、画面全体の立体感を調整するものでもあることが、わかってもらえたと思います。
これを他のソフトで再現させることも可能だと思うんですが、スライドを単に上げ下げするだけで簡単に変えられるSPPはわかりやすくて、初心者にとってもとても便利だと思います。
ぜひみなさんも使いこなしてください。
それでは今日はここまでです。
ではまた次回!