フォビオン現像テクニック(第七回)フォビオン×スポーツはモノクロで迫力を増す!

SIGMA SD14 300mm F4 1/500 ISO400



一眼レフの楽しみには色々ありますが、自分はやはりレンズを色々交換できることだと思います。

超広角からマクロ、望遠まで、レンズを変えるだけで撮れる世界がガラッと変わります。一眼レフを手に入れたらぜひとも色々なレンズを手にいれて、その違いを楽しんで欲しいと思います。

特にシグマのレンズは性能のわりに値段がお手頃ということもあるので、SDシリーズを使えば比較的安価にシステムを組むことができます。

300mmや500mmといった超望遠レンズを手に入れれば、近くの動物園や水族館、野鳥の集まる公園などで生き物の撮影ができますし、競馬やレース、航空祭などのイベントも存分に楽しむことができますよ。ぜひ検討してみてください。

ということで、今回は競馬です。


さて、競馬の撮影は難しいです。

なんといっても馬は走るの速いですから、自分の使ってる旧型のレンズではAFが間に合いません。なので、フォーカスは基本的にマニュアルになります。

シャッターチャンスも一レースにつきせいぜい数秒あるかないか。そのわずかな時間に猛スピードで走る馬にピントを合わせなければいけないから大変です。

この日は午前中に競馬場に入って全部で10レースほど撮ったのですが、撮影に何とか慣れてきたのは半分以上レースの終わった午後3時くらいでした。7月の暑い日だったのですが、わずかに西日が傾いて、日光が弱くなり、ISO100では撮影に十分なシャッター速度をかせげなくなりました。

スポーツは一瞬を切り取らなければいけないので、シャッター速度は速くなければいけません。仕方ないのでISO400にして何とか撮影を続けました。そして、数百枚撮った中でほとんど唯一ピントが来てたのが上の一枚です。

ということでオートで開いてみましょう。



イメージ 1
色が変


何か色がイマイチですね。SD14のISO400にしてはそこそこ写ってる方だとは思うんですが、色も薄いし低コントラストです。とりあえず手前にある白い手すりにホワイト指定してコントラストを+2.0に、露出を-0.7にします。



イメージ 2
まあまあかな




悪くはないんですが、何か、普通の写真だなと。いまいちグッと来るものがありません。

ジョッキーの着ている服も自分が見たカラフルな感じとは違って、ちょっとくすんだ感じになっています。さらに、後ろの緑の屋根というかひさしの部分が、ちょうどジョッキーの頭に重なってて、背景に気を取られてしまいます。

なので、これはモノクロにして、ぜんぜん違うやり方で現像したほうがいいなと思いました。ということで、ホワイトバランスをモノクロにします。



イメージ 3
色が変なまま




さっきやったホワイト指定の色がそのまま残ってしまいました。とはいえ、それ以外は雰囲気も出ていい感じ。背景も大人しくなって、馬とジョッキーに視線が集中します。とりあえずこの方向で現像することにしましょう。

マゼンタを減らすために色を3C+2Mに、ちょっと明るいので、露出、シャドウを-2.0に、土埃を強調するためにシャープネスも+2.0にします。



イメージ 4
グッと雰囲気が


ちょっと暗くしすぎたような気もするので、警告表示を出しながらハイライトの調整をします。ジョッキーのヘルメットがわずかに警告を超えるように、ハイライトを+0.5に、フィルライトを+0.3にします。ついでにオートで開いた時のままだった彩度を0に戻しておきます。


イメージ 5
いいんじゃないでしょうか


これはISO400で撮ったのでノイズリダクションがかかっています。モノクロなので色ノイズは関係なくなるから、ノイズリダクションをゼロに、解像感を増すために輝度ノイズの方もゼロにします。


イメージ 6
臨場感が増しました



とりあえずこれで完成。JPEGに保存します。

どうでしたか?シャッター速度を稼ぐためにISO400で撮ったのですが、そのせいか色が好みには仕上がりませんでした。けれども、それをモノクロにすることで、別の雰囲気の写真に仕上げることが出来ました。

第五回でも書いたように、フォビオンは高感度でも輝度情報はしっかりと持っていますから、モノクロにしてもしっかりとした階調を持つ、雰囲気のある写真が撮れるんですね。

今までISO100しか使わずスポーツ撮影をしなかった人も、思い込みを捨てて高感度で撮ってみれば、撮影の幅が広がると思います。みなさんもぜひ試してみてください。

ということで、今回はスポーツ写真をモノクロ現像して臨場感を出す方法でした。


ではまた次回!


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