フォビオン現像テクニック(第五回)低彩度で高感度ノイズを味わいに変える!

SIGMA SD14 70mm Macro F2.8 1/60 ISO400 (ISO800相当)


フォビオンは高感度に弱いとよく言われます。確かに、高感度で撮影すると色が薄くなったりノイズが出やすくなるのは事実です。

でも、そんな高感度で撮影されたデータを良く見ると、光が足りない状況でも被写体のディテールが細部まで良く写ってるのがわかります。

フォビオンセンサーは普通のセンサーとは違ってカラーフィルターを使っていないので、センサーが受け取った光を全て画像データとして扱えるんですね。だから、光が足りなくて色分離が難しいような状況でも、明度差はしっかりと記録しています。

フォビオンは色が素晴らしいというのは良く伝わっているのですが、その色の良さというのも、各ピクセルが輝度情報をしっかりと記録しているからこそです。そして、それは高感度でも決して失われることのない、フォビオンの利点だと思います。なので、低感度だけで撮影するのはもったいないので、もっと積極的に高感度を使っていきましょう。



さて、第三回 でフラッシュを使って室内で子供を撮影した例を上げましたが、毎回毎回フラッシュをたいていると、同じような写真ばっかりになってしまいます。

今回のように、部屋の向こうからかすかに光が差し込む状況を撮影しようと思ったら、フラッシュを使わず自然光だけで撮影をしたほうが雰囲気が出ます。

けれども、ISO100では光が足りません。なので感度を上げてISO400のシャッター優先モードで撮りました。シャッター速度は1/60です。


さっそく今回の画像をオートで開いてみましょう。


イメージ 1
やっぱり色ノイズ


オートで開くと露出が+0.9になってるので、この写真は実質ISO800相当の画像ということになります。撮影に使ったSD14は二世代も前の2007年発売のカメラですから、高感度にはめっぽう弱いです。

最新のTRUEII搭載機であれば、これよりもだいぶ綺麗ですし、SD1に採用されているメリルセンサーはさらに高感度性能が上がっているので、購入を検討されている方は安心して下さい。

さて、色ノイズまみれとはいえ、写真としてはけっこうお気に入りなので、頑張ってカッコよく仕上げたいものです。何とかノイズが消えないかなということでノイズリダクションの色ノイズを最大にしてみました。



イメージ 2
だいぶ良くなりました


これならいけるかなということで、ちょっとパラメーターをいじってみましょう。とりあえず画像が眠いような気がするのでコントラストを+2.0にしてみました。


イメージ 3
ノイズが目立ってしまった



やっぱりコントラストを上げると色ノイズが目立ってきますね。これはもう普通の色を出すのは諦めて、低彩度で現像することにしました。

彩度を-1.5にしてみます。


イメージ 4
いい雰囲気


彩度下げたらガラっと雰囲気変わっていい感じになりました。ここまで色を薄くしたらノイズリダクションしてる意味はないので、色、輝度、ともに最小にします。


イメージ 5
ディテールが復活


ノイズリダクションをかけていたときは全体的にのっぺりしてたのが、ゼロにすることで、肌の産毛などの質感が戻って来ました。これをもう少し強調する感じに現像します。

警告表示を出しながら全体の露出を調整。背景をもう少し暗くして顔に当たる光を増やしたいのでフィルライトを+0.3に上げ、露出を0.5まで下げます。


イメージ 6
ちょっと暗くなりました


手前をもう少し暗くしたいので、シャドウを-0.8に、全体を均質化するためにコントラストを+1.0まで戻します。ハイライトが少し足りなくなったので+1.0まで上げました。


イメージ 7
手前がだいぶ暗くなりました


最後に、ノイズの粒状感を強調するためにシャープネスを+2.0にします。色味もちょっとだけ変えるために洋服をホワイト指定しました。


イメージ 8
ザラッとした感じがいい雰囲気に


とりあえずこれで完成。JPEGに保存します。


どうでしたか?

SD14で実質ISO800という、かなり厳しい状況での撮影でしたが、雰囲気のある写真が出来ました。それもフォビオンセンサーが輝度情報をしっかりと記録してるからなんですよね。

こういう明るさが足りない時でも撮影をあきらめず、とりあえずISO400でもISO800でもいいから撮ってみる。ノイズリダクションや彩度を調整して現像を工夫すれば、高感度でもちゃんと見れる写真に仕上がりますよ。

ということで、今回は高感度を低彩度で現像して、雰囲気を出す方法でした。みなさんもぜひ挑戦してみてください。


ではまた次回!


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