フォビオン現像テクニック(第四回)長時間露光で夜景は美しく輝く!

SIGMA DP1s F5.6 15秒 ISO50


ということで第四回は夜景です。

寒い時はなかなか外に出たくないものですが、冬こそ夜景が綺麗に撮れる季節です。

まず理由その1。空気が乾燥してるので遠景でもくっきりとした写真が撮れます。これは昼でも同じですね。

理由その2。寒いので、カメラが熱ノイズの影響を受けにくいです。

デジタルカメラに使われているセンサーはシリコンなのですが、これはパソコンのCPUと同じで、使っていると熱を持つんですね。そして、センサーが熱を持つとノイズが出やすくなります。

でも冬に撮れば、気温も低いので熱ノイズの影響が出にくくなります。なので、積極的に外に出て夜景を撮ってきましょう。

夜景には基本的に三脚が必須です。SDのような一眼レフを使う場合はそれなりに高級な三脚を買っておいたほうが後々便利です。

DPのようなコンパクトカメラはボディが軽いですからそんなに頑丈でなくても大丈夫です。それよりも携帯性を重視した小型で軽い三脚を選びましょう。

特にDPにはマンフロットのポケット三脚のような、ボディにつけっぱなしで小さく折りたためる三脚などがあると、通勤通学の行き帰りに気軽に夜景が撮れて便利だと思います。




カメラの設定は、三脚にセットしてセルフタイマー2秒で大丈夫です。ちょっと三脚が揺れるようだったら10秒にしておきましょう。

AFは明るい光源があればそれに合わせます。合わないときはマニュアルで合わせてください。遠景の場合DPならMFにして無限遠にダイヤルを回せばそれで大丈夫です。

モード設定は基本的にAモードで大丈夫です。遠景ならちょっと絞ってF5からF8のあたりで。DPは最長で15秒しか露光できないので、絞り過ぎて光量が足りないときは少し絞りを開きましょう。

夜景の露出はなかなか難しいんですが、何度か撮ればだいたいの設定がつかめてくるので、色々試してみましょう。


さて、ということで現像に行きます。

今回の写真をオートで開いたのがこんな感じです。


イメージ 1
実は川の堤防から撮りました


川の手前に公園があって、そこに少し緑があります。けれども、全体的に光が足りない場所です。

SPPはオートだと暗い場所も無理やり持ち上げることがあります。今回も露出が+1.5にまで上がっています。ここまで上げてしまうと、どうしてもノイズが出てしまうので、見栄えするように現像するのは難しいです。

なので、とりあえず手前の公園を全部黒で潰します。露出を0に戻し、コントラストを+2.0、シャドウを-2.0にします。


イメージ 2
真っ黒



手前の公園が真っ黒に潰れたことで、対岸の街並みが宙に浮かんでるような感じになりました。

これでいいかなと思ったのですが、もうちょっと街並みの明かりが欲しいので、フィルライトを+0.3に、ハイライトを+1.0にします。



イメージ 3
ちょっと明るくなってメリハリが出ました



ちゃんと黒が潰れているか警告表示で確認してみます。



イメージ 4
下半分は真っ黒



公園のところをきちんと黒で潰しつつ、街の光にしっかり階調を出すことが出来ました。

基本的にこれで終わりでいいんですが、色合いがあまり良くないなと感じました。空がグレーがかった緑のような、あんまりいい色じゃありません。

こういう時はカラー指定でガラッと色を変えてしまいましょう。



イメージ 5
ホワイト指定ボタンを押して


イメージ 7
画面の適当な場所をクリック



黄色い光をクリックしたら、画面が青っぽくなりました。

これは補色の関係でそうなります。


色相環の図 反対側が補色



ホワイト指定でとある色をクリックすると、反対側の色になるんですね。

今回は夜景を青っぽい感じに変えたいので、黄色やオレンジの照明をホワイト指定してやれば画面全体が青くなります。

もうちょっと別の場所をやってみましょう。



イメージ 6
オレンジを指定したら青くなりました



とりあえずいい雰囲気になったのでこれで終了。JPEGに保存します。


どうでしたか?

夜景はSPPのオートで開くと、画面全体を明るくしようとして、ノイズまみれの絵になってしまうことがあります。そういう時は思い切って暗い部分を全部黒で潰してしまって、明かりだけを配置するようにすればメリハリの付いたいい夜景になります。

空の色や建物の色があまり好みでない場合はカラー指定を使って画面全体の色を変えてしまいましょう。夜景の場合はブルー系統の色に変えてやればカッコいい写真になります。

ということで今回はこれで終わりです。みなさんも現像を楽しんでください。

ではまた次回!


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