CP+2012 シグマ山木社長 インタビュー


(原文のスペイン語googleで英語に翻訳した後日本語に訳しています。文意が正確でない可能性があります)


シグマブースでのデモの様子



CP+2012の会場で、私たちDSLRマガジンのスタッフはシグマCEOの山木和人氏にインタビューをすることができた。氏と話をするときはいつもだが、今回もリラックスした雰囲気の中、将来の見通しについてや、新技術について、興味深い話を伺うことができた。


DSLRマガジン:シグマSD1の値下げの発表は驚きでしたが、それだけではなく、SD1と同じ23.5 x 15.7mmの4600万画素フォビオンセンサーを搭載したDP1 MerrillDP2 Merrillの発表はびっくりしました。どうやってセンサーの価格を下げることができたのでしょうか?

山木:ウエハーの製造を最適化する方法がわかったので、コスト削減が可能になりました。今回の発表はそれを受けてのものです。センサーの価格というのはみなさんが思っている以上に変動が激しいのです。私たちも他社と競争できるようコスト削減に努めていきます。




DSLRマガジン:DP1/DP2 Merrillのボディはプラスチックなのですか?

山木:いいえ、そう見えるかもしれませんが外側はアルミニウムを使い、内側は軽合金を使っています。

DSLRマガジン:会場では実際にDP2 Merrillの試作機をさわることが出来ました。特に新しいマニュアルフォーカスリングがいいですね。新しくレンズの周りに配置されました。

山木:あれはまだ試作段階なので、あまり使い勝手が良くなかったかもしれませんね。発売する時にはもっと良くなることをお約束します。

DSLRマガジン:DP1/DP2 Merrillのレンズはそれぞれ19mmと30mmのF2.8ですよね。このスペックは先日ラスベガスのCESで発表されたミラーレス用の新型レンズ、19mm F2.8 EX DNと30mm F2.8 EX DNと同じですが、このふたつは全く同じレンズなのですか?

山木:これらのレンズは同じ哲学のもとで開発されていますが、DP1/DP2用に作られたレンズと、マイクロフォーサーズソニーNEXのミラーレス用に作られたレンズとでは、もちろん作りは違います。レンズシャッターが必要かどうか、マウントに装着するかどうか、バックフォーカスの長さなど違いがありますから、全く同じにすることはできません。けれども設計が似通っていることは確かです。




19mm F2.8 EX DN MTFチャート
19mmという広角でありながらMTF曲線はとても良好だ。コントラスト(赤)とシャープネス(緑)の両方とも高いレベルを保っている。収差の補正も画面全体で良好で、極めて解像感が高い。

30mm F2.8 EX DN レンズ構成


MTF曲線は素晴らしい性能を示している。コントラスト、シャープネスともに高いレベルで、収差の補正も見事だ。レンズの外観に派手さはないが、中身は最新の技術がふんだんに使われている。


山木:元々DP用に開発したレンズなので、例えばレンズシャッターを入れつつ全体のサイズを小さくしなければならない、といった制約があり、開発は難しいものでした。ミラーレス用に設計し直すときはそのような制限があまりないので、開発は順調でしたね。

DSLRマガジン:最近の傾向として、レンズの色収差や口径食などをカメラボディの方で補正することが増えています。とりわけミラーレスではレンズ補正はよく行われており、例えばマイクロフォーサーズオリンパスパナソニックはレンズの補正が機能するように情報を共有しています。シグマも今後はマイクロフォーサーズにレンズを提供していくとのことですが、このレンズの補正という側面については、どのようにお考えですか?

山木:複数のメーカーがたくさんの種類のボディを作っています。それぞれの考えで画質を良くしようと、そのような補正を行なっているのだと思いますし、そのことについては尊重しています。ただ、私たちには私たちの考えもありますし、これまでシグマのレンズを使ってきたユーザが私たちに何を求めているのか、ということも考えると、必ずしもそれに全面的に賛同するわけでもありません。

私たちのレンズに対するアプローチは基本的に変わっていません。レンズそれ自体が高性能であるものを作り続けること。それだけです。

DSLRマガジン:その姿勢はユーザー思いで素晴らしいですね。ライカのアプローチと同じです。

山木:ありがとうございます(笑)

DSLRマガジン:シグマは一年ほど前にHOYAと協力して作ったFLDガラスをレンズに導入し始めましたね。今の時点でHOYAとドイツのschott以外でガラスを製造している会社はあるのでしょうか?

山木:HOYA以外ではキヤノンの子会社とニコンの子会社の光ガラスも製造していますね。

DSLRマガジン:コシナは自社でガラスを作っているのですか?

山木:少量ですが自社で作っていると聞いています。とてもオーソドックスなタイプのガラスです。

DSLRマガジン:なるほど。最新のレンズ設計について何か特徴はあるのでしょうか?

山木:そうですね、デジタル時代になってから、レンズ設計はレンズ内部の反射をいかに抑えるか、ということが最も重要になりました。センサーからの反射が大きいので、フレアの処理が大変になったのです。例えば新型レンズが出るたびに、コーティング技術の効果が高らかに喧伝されたりするのですが、私の知る限りでは、コーティングがフレアに与える影響はわずか20%ほどしかありません。


私たちの技術的な質問に図を描いて答える山木氏


山木:フレアが起こる原因の残り80%はレンズやカメラボディ内の設計だったり、ボディとレンズとの関係だったりするのです。それは一眼レフでもミラーレスでも同じですね。

シグマはフレアの減少を第一に考え、設計には厳格な基準を設けています。常に最高の画質を提供できるように開発を行なっているので、一度試して欲しいですね。

DSLRマガジン:ミラーボックスの形状はカメラごとに異なっていますし、塗装などもそれぞれ違いますよね。特にミラーレスとなるとフランジバックが短いですから、センサーからの照り返しの対策はとても難しくなりそうです。

山木:その通りです。私たちは自社のマウントも含め、たくさんの種類のマウントにレンズを作っていますので、そのことも考えて開発を行わなくてはならないのです。開発の手順はだいたい次のような感じです。

まずコンピュータでフレアを計算しながらレンズ設計を行い、プロトタイプを作ります。その後、そのプロトタイプを様々なマウントにつけて実際に試写し、設計通りの性能が出ているか確かめます。

その結果を見てから、もう一度設計をやり直し、二つ目、三つ目とプロトタイプを作っていきます。社内にはプロトタイプを使って郊外で試写するのに専念する社員が三人いて、様々なカメラで、レンズにとって最も困難な状況での撮影を繰り返します。

こうやってレンズを開発するのにはとてもコストがかかるのですが、とりあえず今のやり方でうまくいっていますね。

DSLRマガジン:ということは、最新の30mm F2.8 EX DNと19mm F2.8 EX DNも、フレアには強いということでしょうか。

山木:いいものを作ったという自信はありますね。