シグマ SD1 Merrill レビュー


元記事:Sigma SD1 Digital SLR Review




シグマSD1はそれまでのSD14/15とは違い、1500万ピクセルの新型フォビオンセンサーを搭載したフラッグシップ機である。それぞれのピクセルで赤、緑、青の光の三原色を記録できるので、シグマはこのセンサーを1500万x3の4600万画素と発表している。

SD1は2010年のフォトキナで最初に発表され、2011年6月に発売された。発売時は税込で6199ポンド(76万円)であり、極めて高額な価格設定であった。その後、この価格は4999ポンド(61万円)まで下がった。つい先日、SD1はSD1 Merrillと名を改めて、大幅な価格引き下げが行われると発表された。


SD1 Merrillの特徴

シグマのカメラの際立った特徴は、フォビオンセンサーを使用していることである。フォビオンセンサーについての詳しい説明は以下のページを参照して欲しい。



フォビオンセンサーはベイヤーパタンのカラーフィルターを使用していないので、ローパスフィルターが不要である。このことにより、フォビオンセンサーは高解像度の画像を作ることができる。また、原理上モアレが発生しないので、ファッション写真や、生地などを撮影するのに大きなメリットがある。

センサーのピクセルサイズは1560万画素であり、それぞれのピクセルで赤、緑、青のRGB三色を記録できる。出力する画像サイズは4704x3136ピクセル。シグマによると、このセンサーの解像度は3000万画素のベイヤーセンサーに匹敵するという。

SD1のスペシャルサイトには、「真の高画質」、「感動画質」、「画質革新」といった言葉が並ぶ。ここでは、SD1の画質が本当に「最高画質」なのか、検証してみたい。


主要スペック

4600万画素 24x16mm APS-Cセンサー(撮影画角1.5倍)
軽量マグネシウム合金ボディ
防塵防滴使用
画像処理エンジン デュアルTRUE II
11点ツインクロスAFセンサー
ISO 100-6400
77分割評価測光
DDR III バッファ
連続撮影速度 6コマ/秒(Med)5コマ/秒(High)
連続撮影可能枚数 7コマ(High)14コマ(Med)
3インチ46万ドット液晶
ファインダー視野率98%(視度調節機能付き)
ダストプロテクター兼IRフィルター
ポップアップフラッシュ(GN11)

SD1 Merrillの使い勝手


SD1はマグネシウム合金製のしっかりとしたボディである。触ってみると、その質感からボディが金属で出来ているとわかる。寒いところに置いておけば手に持った瞬間に冷たさを感じるくらいだ。ボディ形状はがっしりとしており、例えばソニーα77のような丸みを帯びた形ではない。グリップの形状に慣れると、この大きさのボディでも快適に持つことができる。このグリップのおかげで、ボディをしっかりと保持でき、カメラへの信頼感を感じることができる。

SD1には上面の液晶パネルがないし、ファインダーの顔認識機能もない。カメラを保持しながらISOを変更したいときはファインダー内部を見ながら設定を変更しなければならない。もしくは、一旦視線を外して、背面液晶でセッティングを変更する必要がある。


メニュー

撮影設定、再生設定、カメラ設定のそれぞれの画面は色分けされている。クイックセット画面を背面液晶に出すことも可能で、QSボタンを押したあと十字キーを操作することで、セッティングを変更できる。もう一度QSを押すと、さらに四つのパラメータを変更できる。

この機能はとても良くできており、一度QSに使い慣れると、メニュー画面を呼び出して変更するよりずっと早く設定を変更できる。QSメニューの内容はカスタマイズできないが、SD1のボディには多くのボタンがあるので、QSのカスタマイズが必要になることはあまりないだろう。

カメラの背面液晶で画像を確認するのはあまりいい方法ではない。画面の色は鮮やかではないし、動作もゆっくりだからだ。

バッテリー

SD1のバッテリーがどれくらい持つかについては、シグマのサイトには記載されていない。今回のテストでは150枚撮影したらバッテリーがなくなった。これは、他の一般的な一眼レフが400枚から500枚以上もの写真を撮れることを考えると、ちょっとした衝撃だった。スペアバッテリーは必須である。

スピード

今回私たちはSD1とα77を比較した。比較した項目は、レリーズタイムラグ、起動時間、撮影間隔、連続撮影数等である。結果は以下のとおりである。このテストは6回撮影を行い、その平均値を測定してる。

レリーズタイムラグ SD1 0.1秒 α77 0.05秒
広角レンズ使用時タイムラグ SD1 0.4秒 α77 0.1秒
ズームレンズ使用時タイムラグ SD1 0.45秒 α77 0.15秒
起動時間 SD1 3.8秒 α77 0.7秒
撮影間隔 SD1 0.6-0.8秒 α77 0.4秒
フラッシュ使用時撮影間隔 SD1 0.9秒 α77 0.8秒
連続撮影間隔(JPEG) SD1 5コマ秒(7連写) α77 7.5コマ秒(最速12コマ秒)
フラッシュ使用時連続撮影間隔 SD1 1.1秒 α77 0.6秒
連続撮影間隔(RAW) SD1 5コマ秒(7連写) α77 7.5コマ秒(最速12コマ秒)


JPEG HIモードの時には連続で7枚撮影ができ、サンディスクエクストリームプロ(90MB/s UDMA6)を使用すれば2~3秒に一枚のペースで撮影ができる。

JPEGはMedサイズでもそれほど速く記録できるわけではなく、記録するのに1.5秒から3.5秒くらいの時間がかかる。RAWの場合は7コマ連続撮影ができるが、バッファを使い切った後は5秒から14秒くらい待たないと次の撮影ができない。それゆえ、バッファがフルになった後はいったんバッファ上のメモリをカードに記録させて空けておかないと、もう一度連写をすることはできない。バッファを開放するにはとても時間がかかり、最悪の場合はカードに記録を終えるまで1分以上も待たされることもある。