フォトキナ2014 山木社長インタビュー



フォトキナ2014の会場で、私たちDigital FocusはシグマCEOの山木和人氏にインタビューを行うことができた。新製品のカメラやレンズについてと、シグマの将来について話を聞いた。

Digital Focus(DG):dp2 Quattroが既に発売済みで、dp1の発売も決まりました。シリーズの完結となるdp3も発売が近いのではないかと感じます。レンズ交換型のdpというのはカメラメーカーとしても魅力的な商品だと思うのですが、発売の予定はないのでしょうか?

山木:マーケットの動向は常に注目しています。しかし、私たちにはレンズ交換式のSDシリーズがあります。もし新しいマウントを発表すれば、私たちは二つの交換レンズのラインを持つことになります。新しいラインを作れば、そこでも新しいユーザーに対する責任が発生しますから、それにふさわしいレンズを揃えなければなりません。しかし、私たちの開発リソースは限られていますし、中途半端なものを出してユーザーを失望させる事はできません。技術的にラインを二つ持つことは可能ですが、現在の優先順位は既存のラインを充実させることです。レンズ交換式のSDと固定式のdpシリーズを今後も発展させていきます。

DG:ここ数年でシグマは数々の優れたレンズを発売してきました。例えば50mm F1.4, 35mm F1.4, 18-35mm F1.8などです。しかし、多くのプロ写真家はフルサイズ用の24-70mmや70-200mmなどが、リニューアルされることを望んでいます。これらのレンズのリニューアルの予定はあるのでしょうか?

山木:ここで具体的に答えることはできません。しかし、リニューアルする必要性はあると感じています。

DG:レンズ開発において一番難しいことは何でしょうか?

山木:写真家の需要に合うレンズを作ることです。コンパクトで軽量のレンズが欲しい人もいれば、動画を撮る人もいます。最新の高解像度なセンサーにも対応しないといけません。そのためにはとても高性能なレンズを作る必要があります。私たちは50mmや24-70mmといった「基本的な」レンズを作らなければなりません。しかし、それと同時にユーザーを驚かせるような製品を作りたいとも思っています。

シグマとしては画質を向上させることを第一に考えています。もちろん、手ブレ補正技術の向上やAF速度の改善なども必要です。そのような様々な要因を考えて、製品のバランスを取っていくのが一番大変ですね。


DG:ソニーのα7用のレンズについて予定はありますか?

山木:ありません。今のところ開発予定はないですね。

DG:シグマはミラーレス用に僅かなレンズしか販売していません。ユーザーからの反応はどうなのでしょうか?

山木:各国のマーケット事情にもよりますね。日本では、私たちのミラーレス用のレンズは、性能が高いこともあって好評です。ヨーロッパでは事情が少し違います。ミラーレスを所有しているユーザーの多くは初心者なので、私たちのレンズもそのユーザーに合わせた値段にしないといけません。現在はソニー富士フィルムが性能の高いミラーレスを発売していますので、これに対応したレンズを作る必要があるとは考えています。

DG:新しいdp Quattroシリーズのデザインはとても独特です。ユーザーからの反応はどうなのでしょうか?また、新しく発表になったLCDビューファインダーは、まさに唯一無二といって良いと思います。他のメーカーはどちらかと言うとレトロなデザインに回顧しているように感じられるのですが、シグマは新しいデザインに向かっています。

山木:クワトロは他のカメラとは違います。dpは最高の画質を提供することが目的ですが、カメラそれ自体を素晴らしいものにしたかったのです。筐体のデザインにとりかかっていた時、私は開発チームに既存のものとは全く違う方法で作るように指示を出しました。車で言うと、dpはトヨタというよりはアルファロメオロータスに近い考えで作られています。もちろん、私自身50年代から60年代のレトロなデザインは好きです。当時の製品はとても美しいデザインですし、優れた性能のものもいくつもありました。しかし、製造する立場からすると、話はもっと複雑になります。それらのデザインをコピーしても、ほとんどの場合より質の悪いものが出来るだけです。私たちは常に新しいものを作っていかなくてはいけません。

DG:新しいSDシリーズでは、何か画期的な変化が起こるのでしょうか?

山木:SDシリーズのマーケットはニッチです。しかし、SDシリーズのユーザーはとても熱心にシグマをサポートしてくれているので、私たちはその期待に応えなければなりません。SDシリーズの後継機は必ず発売しますが、今の時点ではデザインや性能などの詳細を話す段階ではありません。